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戦国異伝供書
第百五話 氏康の治その三

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「その升のみとする」
「これまで升は色々でしたが」
「その升のみとし」
「測りも一つにしますか」
「あと評定衆の話が出たが」
 こちらの話もした。
「今後は人も仕事も多くする」
「そうしてですか」
「政に働いてもらう」
「そちらもそうしますか」
「左様、訴えがあれば」
 その時はというのだ。
「よく働いてもらう、御馬廻衆からなってもらいな」
「そしてですか」
「働いてもらい」
「当家の政に役立ってもらいますか」
「その様にしてもらう、また小田原であるが」
 本城のことも話した。
「掃除を徹底させてじゃ」
「奇麗にしますか」
「城の町を」
「そうしますか」
「多くの職人や学者、歌人等も招き」
 そうしてというのだ。
「町を整えてな」
「堀や壁で囲まれていますが」
「その中を整えますか」
「掃除をするだけでなく」
「さらに多くの寺も建て」
 氏康はさらに話した。
「川から水も引いてじゃ」
「民の水としますか」
「そうもされますか」
「水も用意されますか」
「そうする、そしてな」
 そのうえでというのだ。
「よい町とする、無論他の町もじゃ」
「整えてですか」
「よい町にしますか」
「どの町も」
「そうする、そしてな」
 さらに言うのだった。
「公に使役、職人のそれも定め」
「職人を用いる」
「そうしますか」
「あと伝馬の制も定める」
 これもというのだ。
「よいな」
「ううむ、兎角です」
「政を定められますか」
「ここまでされるとは」
「我等も思いませんでした」
「全ては当家の為じゃ」
 氏康は笑って述べた。
「だからな」
「全て定めてですか」
「そしてですか」
「国を豊かにし」
「強くしてですね」
「そうしてですね」
「その蓄えた力でな」
 まさにそれでというのだ。
「河越城を手に入れてな」
「そしてですな」
「そこからですな」
「関東を手に入れる」
「そうしますな」
「そうする、それではまずは政に専念する」
 それにというのだ。
「よいな」
「はい、内に外に」
「そうしていきますな」
「これより」
「そして力を蓄えるとしよう」
 こう言って実際にだった。
 氏康はまずは政に専念した、内では様々なことを行い外では今川家そして武田家と和した。その和を聞いてだった。
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