第51話 若気の驕り
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の昼食時、人数分の見事なトマトファルシが並べられたので、まずは良しとしたい。
勿論「トマトファルシはフランス料理ではなくてバスク料理なんですが」と俺は中佐に言うことはなかったが。
◆
そして宿題の期限である二七日午後。俺はモンシャルマン准将を通じて爺様に部隊編制の最終案を提出すると、一時間もせずしてファイフェルを通じて司令官公室に呼び出された。遅れて宿題を出して教官の前に引きずり出された生徒のような気分で立っていると、先生役の爺様の機嫌はかなり良かった。
「まぁ六五点というところじゃな。部隊構成を均等三分割した割には、部隊間の火力と機動力に差がない。合格点と言いたいところじゃが、ジュニアに聞きたい」
そう言うと爺様は俺が提出した編成表の紙の束をポンポンと叩いて言った。
「第八七〇九哨戒隊をそのまま旗艦司令部の直轄隊とした理由は何かね?」
やはりその質問か、と俺は胸の中で嘆息した。ある意図をもって構成される中途半端な哨戒隊を解体せず、そのまま直轄隊として運用することの意図を理解した上での質問だ。
「お答えします。第八七〇九哨戒隊の前任地と特殊な経歴を踏まえ直轄隊として運用した方が良いと考えた次第です」
「他の部隊に再配属されたら、各所で弾除け扱いされるとジュニアは考えるんじゃな?」
「ゆえに旗艦の傍に集団でいればまず問題ないと考えました」
「旗艦ごと吹き飛ばすアホウがおるやもしれんぞ?」
「尋常でない処分を覚悟の上で撃ってくるのですから、そうなったらさすがにお手上げです」
「ハハハハッ。よかろう。部隊構成はこのままでいく。細かいところの修正と代将の人事については、儂とモンシャルマンで手配しておこう」
爺様はそう言うと、編成表を決済済みの書箱に移して大きく溜息をつき、一呼吸置いた後で両手を組んでその上に顎を乗せると、俺に鋭い視線を向けて言った。
「出撃が決まった。四月一五日までには戦域にて状況を開始。一ケ月でエル・ファシル星系を奪回せよとのことじゃ。独立部隊の編成が終了次第、合同訓練を公表し、訓練終了後にエル・ファシル星系へと向かう」
「承知いたしました」
「各独立部隊との合同訓練は三月中旬を見込んでおる。回数にも時間にも余裕はない。第四四機動集団自身の訓練計画とその実施に関して、ジュニアは訓練計画を立案し、二月一五日までに儂へ提出せよ。それを参謀長が修正し査閲部に提出する。それと並行して……エル・ファシル星系奪還作戦の作戦骨子と戦略評価を纏めてもらいたい。情報閲覧権限は参謀長と同格。情報・補給参謀にもその旨は伝える。期限は三月一日までじゃ」
爺様の一言に、司令部公室の空気は一気に張り詰めた。黙って立っているファイフェルの、喉を唾が流れる音すら聞こえそうだった。『半個艦隊』に
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