第94話『開会式』
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え1つの競技で1位を取ろうと、他の競技で最下位を取ってしまえば全て台無しだ。これは余計にプレッシャーがかかってしまう。
『各競技のルールは各会場にて行ないます。それでは各チーム、予選に出場するメンバーを決めて、1時間後に指定された会場へ来てください! 以上、解散!』
そう言い放った瞬間、ジョーカーがドロンと煙に巻かれて姿を消した。あれもきっと魔術による演出なのだと思う。
……普段なら手品を疑うはずなのに、こんな考え方をしてしまうなんて。結構魔術に関わってしまったと、晴登は感慨深くなる。
それにしても、消え方が忍者っぽかったな。ピエロなのに……。
「それじゃ、ロビーで予選のメンバーを決めるぞ!」
「「はい!」」
終夜の呼びかけに、1年生が大きく返事を返す。
そして周りのチームが解散していくのに合わせて、魔術部はロビーへと戻っていった。
*
晴登たちがロビーへ向かうのと同時刻、そんな彼らの様子を静かに見つめる人物がいた。
「どうした影丸?」
「いや、あそこのガキ……」
そんな彼の様子が気にかかったのか、金髪の青年──アーサーは声をかける。すると影丸と呼ばれた男は、晴登たちの方を指さす。
その先を見たアーサーは、納得したように頷いた。
「あぁ、日城中だね。まだ中学生なのにこの大会に参加するなんて、彼らは立派だよ」
「そんなことを言いたいんじゃない。あの銀髪のガキだ」
見当違いなことを言うアーサーに、ボサボサの黒髪を掻きながら影丸は嘆息する。【日城中魔術部】というチームは昔からの常連だ。存在は知っていて当然である。
本当に彼が気にかかっていたのは、今年のそのメンバーの1人、結月だった。
「どうしたんだい? 君が他人を気にかけるなんて珍しい」
「あいつからは並々ならない力を感じる。もしかするとレベル5の魔術師じゃないか?」
「ふむ、言われてみると確かに。去年はいなかったから、もしかして1年生なのかな? それなら凄いね」
今まで多くの魔術師を見てきたから、相手の実力は見ただけでわかると自負している。そんな自分の目によると、あの銀髪の娘の内には、中学生ながらとんでもない力が秘められているとのこと。アーサーも同意したので、これは確定だろう。
もしかすると、今大会の障害となりうる存在かもしれない。警戒をしておかなければ。
「ま、俺たちには及ばないだろうがな。くくく」
「こら、あまりそういうことを言うんじゃない」
影丸が不気味に笑うと、アーサーはそれを制した。
彼はその反応に不服そうにしていたが、気を取り直して再び【日城中魔術部】を眺め始める。
実は結月以外にも、彼には気になる少年
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