第94話『開会式』
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ずっと笑顔でいて欲しいし。
「さて、もうすぐ開会式が始まりそうだから、私たちはこれで」
「はい、今年はよろしくお願いします!」
「うん、こちらこそ。当然、後輩だからって手加減はしないからね。1年間の成長を見せてもらうよ」
「あっと驚かせてやりますよ」
「それは楽しみだね」
月と終夜が最後にそう言葉を交わし、そして2つのチームは別れた。
先輩とはいえ、敵チームということに変わりはない。負けないよう頑張るぞ!
*
定刻となり、選手がチームごとに整列する。
しかし、まずその数に驚かされた。恐らく100チーム以上はいるだろう。全国とはいえ、魔術師たちがこんなにいるなんて予想外だった。まだまだ井の中の蛙だったという訳か。
ちなみに、晴登たち【日城中魔術部】は1番端っこだ。やっぱり年少だからだろうか。ちょっと悔しい。
『お待たせしました! 会場に御座します皆々様、正面をご覧ください!』
そんな快活な声がスピーカー越しに聴こえたので、言われた通り正面を見る。するとそこには、マイクを持ったピエロが台の上に立っていた。……なぜピエロ?
『昨年お会いした方はお久しぶり、お初にお目にかかる方は初めまして! ワタクシは"全国魔導体育祭"の司会兼審判を務めさせて頂きます、ジョーカーと申します』
ピエロ……もといジョーカーは、丁寧にそう挨拶した。
どうしてピエロなのかと気にはなるが、たぶんそういう演出なのだろう。ここは魔術がひしめく世界。常識で物を考えると気後れしそうだ。
『それでは早速、開会宣言かつ大会長挨拶です!』
ジョーカーがそう言うと、前の台の上に1人の男性が登った。物腰の柔らかそうなおじさんである。
彼はマイクを手に取ると、咳払いを1つして、
『これより、全国魔導体育祭を開会します。私は魔術連盟会長の山本と申します。皆さん、頑張って下さい。以上』
一息に話し終わって、礼をしてしまった。そのあまりの挨拶の早さに、晴登は拍子抜けする。
いや、でも正直に言うと、校長先生の挨拶とかもこれくらいの長さで良い。聞いてて退屈だから。
それにしても、"魔術連盟"というワードも気になるが、彼が「山本」と名乗ったことに少し反応してしまった。知り合いの名前と同じだと、気になってしまうというやつだ。
とはいえ、少し雰囲気は似てるかもしれないが、別に晴登の知る山本と彼が同一人物という訳ではないのだが。
『相変わらず無駄のない挨拶をありがとうございました! では次に、優勝杖返還と選手宣誓です。代表、【覇軍】アーサー選手!』
「はい!」
スピーディに進む開会式だなと思っていると、大きな返事が列の中央辺りから上がっ
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