第三章
[8]前話
後日空き巣が捕まった時にわかった。その空き巣が言うには。
「そうか、タケちゃんが襲い掛かってか」
「空き巣を追っ払ったのね」
「家に入って麻っていたら来てか」
「盗むどころじゃなくて逃げだしたのね」
「猫は元々山猫みたいだったしな」
野生のそうした獣を家畜にして猫になったのだ、古代エジプトからはじまる。
「それに虎やライオンの親戚だしな」
「実は人間より強いのよね」
「本気出したらな」
「ええ、けれど大人しくて怖がりのタケちゃんがね」
「俺達の為にそうしてくれたんだな」
「勇気を出してね」
「そう思うとな」
夫は妻にしみじみとした口調で述べた。
「タケちゃんに感謝しないとな」
「タケちゃんがいてくれたからね」
「百万年取られなくてな」
「お店もやっていけてるわね」
「ああ、タケちゃん様々だよ」
「そうね、若しもあなたがタケちゃんを拾わなくて」
「俺達が助けなかったらな」
そして育てなかったらというのだ。
「もうな」
「百万円取られててね」
「お店もな」
「やっていけなかったわね」
「ああ、そうなっていた」
「全部タケちゃんのお陰ね」
「タケちゃんを助けなかったらな」
本当にどうしようもなくなっていたとだ、夫婦で話した。そして。
店はそれから味が評判になって人気店となった、マスコミでもネットでも注目される位になった。それでだ銀行から借りた百万も返せて。
二人はよく笑顔でいられる様になった。それでだった。
マンションの自分達の部屋の中でタケちゃんを見て話した。
「タケちゃんのお陰だよ」
「あの時の百万があったから今の私達があるし」
「タケちゃんがいてくれてよかったよ」
「タケちゃんは私達の福の神よ」
「これからも一緒に暮らしていこうな」
「仲良くね」
「ニャア」
タケちゃんは自分に笑顔を向ける二人に笑顔で鳴いて応えた、そうしてだった。
二人のところに来て丸くなった、二人はそんなタケちゃんを見てまた笑顔になった。拾った時とは全く変わって元気になった彼を見て。
ラーメン屋を救った猫 完
2020・9・22
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