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ラーメン屋を救った猫
第二章

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「どうだ?」
「いいわね、じゃあこの子はね」
「これからタケちゃんだ」
「タケちゃん宜しくね」
「ニャ〜〜」
 タケちゃんと名付けられた猫は二匹に嬉しそうに鳴いて応えた、大人しく優しいい性格で夫婦によく懐いたが。
「人見知りするな」
「お客さんが利いたら怖がってね」
「それですぐに部屋の隅に隠れるな」
「そうよね」
「噛んだり引っ掻いたりとかな」
「そうしたことはないけれど」
「それでもな」
 タケやんはというのだ。
「随分人見知りでな」
「怖がりね」
「そうだな」
 タケちゃんのそうした性格も話してだった。
 そしてだ、健太は信代に店のことも話した。
「今度銀行行って来るな」
「お金借りるのね」
「ああ、百万な」 
 これだけというのだ。
「借りてな」
「お店のお金にするのね」
「今は苦しい」
 二人のラーメン屋の経営はというのだ。
「だからな」
「その百万でピンチを凌ぐのね」
「ああ、そしてな」
 そのうえでというのだ。
「やっていこう」
「それじゃあね」
「今乗り切ったらな」
「何とかなるわね」
「こうした時もくるって覚悟していたしな」
 店をやっていると、というのだ。
「ここはな」
「ええ、百万ね」
「それだけ借りるな」
 こう言って実際に健太は銀行から百万借りた、それでその金をまずは家に置いていたが家に置いた翌日だった。
 二人が住んでいるマンション全体が荒らされた、マンションの管理人から連絡を受けて二人が急いで部屋に帰ると。
 部屋は荒らされていた、その全体が。それで夫は血相を変えて叫んだ。
「百万だ」
「銀行から借りた」
「あの百万がないと」
 それこそとだ、自分と同じ顔になっている妻に話した。
「うちはおしまいだ」
「ええ、どうなったかしら」
「それにタケちゃんも」
「タケちゃんいるわ」
 見ればタケちゃんはいた、部屋の隅で震えている。だが。
 二人が百万円を置いておいた場所を探すとだった。
「あるな」
「そうね、判子も通帳も」
「全部な」
「あるわね」
「助かった」
 夫は心から言った。
「ちゃんとあったぞ」
「ええ、これでお店やっていけるわ」
 妻も安堵した顔で言った。
「よかったわね」
「ああ、けれどな」
「何で百万取られなかったのかしら」
「それだな、タケちゃんしかいないのに」
「タケちゃん怖がりだし」
 二人で猫を見つつ話した。
「俺達以外の人を見たら逃げるのにな」
「そのタケちゃんしかいないのに」
「それでどうして取られなかったんだ」
「不思議ね」
 夫婦はそれがわからなかった、だが。
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