暁 〜小説投稿サイト〜
俺様勇者と武闘家日記
第1部
アッサラーム〜イシス
ピラミッドでの攻防
[1/6]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「痛っ!!」
 火炎ムカデの火の息を避け損ねた私の左腕に、焼けるような痛みが襲う。
「ホイミ」
 するとすぐにユウリが回復呪文をかけてくれた。私は彼にお礼を言う間もなく、再びムカデに向かって走り出す。
「はああぁぁっっ!!!」
 気合いを入れ、会心の一撃を決める。ムカデは虫の息だったのか、この一発で倒れた。
 その瞬間、自分の体がレベルアップするのを感じた。
「あ、レベルが上がったかも」
 なんとなく強くなった気がする。まあ、今日だけでこれまで二十体も魔物を倒してきたのだ。そろそろレベルアップしてもおかしくないはずである。
「やっと上がったのか。お前は性格だけじゃなく、レベルアップするのもどんくさいな」
 どんくさいレベルアップなんて言葉、初めて聞いたんだけど。それを言ったらユウリだって、殆ど上がってないじゃない。……まあ、旅立つ時点ですでにレベル30なんだけど。
 ちなみに私は今レベルが上がって15になったばかり。カザーブからアリアハンに来た頃はレベル1だったから、大分成長はしてきてるつもりだけど、それでもユウリに比べたらまだまだ足手まといでしかない。
 ナギも今の戦いでレベルが上がり、今は17になっている。最初出会ったときは同じくらいだったはずなのだが、いつの間にか追い越されてしまった。
 シーラも、殆ど魔物は倒してないはずなのに、どういうわけかレベルは私よりも高い。詳しくは知らないが、遊び人は、魔物を倒した数より、遊んだ回数で経験値が増えるのだという。
 そもそもなぜ今砂漠の真ん中でこんなことをしているかと言うと、言うまでもなくピラミッドを探索するためだ。でも、今のままでは私たち(ユウリを除く)のレベルが低すぎて、鍵を見つける前に全滅してしまう恐れがある。そこで、探索する前にある程度全体のレベルアップを図ろうと計画したのである。
 とりあえず、火炎ムカデを一人で倒せるくらいには強くならないと、話にならない。そこで、私とナギだけで魔物を倒しまくり、怪我をしたらユウリが即座に回復をする。シーラは……いつも通り遊んでもらって、ユウリのMPが切れてきたらルーラを使い、イシスに戻る。それを一週間続けることにしたのだ。
 結果、数回ほどレベルアップをした私たちは、最初に火炎ムカデと対峙したときとはうってかわって、余裕で倒せるようになった。そしてそれは、火炎ムカデ以外の魔物でも同様だった。
 さすがに地獄のハサミとかいうカニ型の魔物が現れたときは、そのあまりの体の硬さになす術がなかったが、ユウリが呪文で倒してくれたので、何とか事なきを得た。
「そろそろピラミッドに行っても大丈夫そうだな」
 砂漠が夕日に染まる頃。ユウリがポツリと言った。
「えっ? 本当?!」
 正直、一週間も炎天下の砂漠で魔物とひたすら戦っていたのだ。
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ