第二章
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ある日粗相を見付けて処理しようとかみや消毒用のアルコールを持って来ると。
持って来て戻るともう処理されていた、夜なので夫はいたが。
夫はリビングでテレビを観ているだけだった、それで妻は不思議に思った。
この時だけでなく粗相が自然に処理されていたりご飯や水がさらに入れられていたりだった。その他に。
最初は家族を見ると頭を竦めさせて目を強く閉じて震えていたトミーが少しずつでも震えなくなってだった。
隅から出る様にもなった、そして。
夫の傍にいる様にもなった、だが夫は。
よく見ると一人の時は何もしない、そして。
妻がいると猫から離れる、そんな風だった。
それでだ、妻は夫のことを彼の母つまり自分から見て義母に話した。
「あの、うちの人ですけれど猫が」
「ああ、最近飼いはじめたのよね」
「はい、虐待されていた子を」
義母、夫によく似た顔の彼女に話した。
「引き取って」
「そうね、実はね」
「実は?」
「うち昔は二匹猫飼ってたの」
「そうだったんですか」
「二代ね、けれど猫って寿命短いでしょ」
「そうですね、人間よりずっと」
円香は義母に答えた。
「そうですね」
「だから二匹共ね」
「自分に先立たれて」
「その度に落ち込んでいたのよ」
「だからですか」
「あの子二匹目が亡くなった時にもう猫はいいって言ってね」
「その時からなんですね」
携帯で話をしていて電話の向こうの義母に言った。
「ああなったんですね」
「そうなの、けれど実はね」
「猫が大好きなんですね」
「あの子には私がお話しておくから」
「今お話していることを」
「円香さんに事情を話したってね」
その様にというのだ。
「伝えておくわね」
「そうしてくれますか」
「ええ、だからね」
それでというのだ。
「あの子がまた猫を可愛がる様にね」
「すればいいですか
「ええ、一緒に可愛がってあげてね」
こう言ってだった。
円香はこの日夫が家に帰って来るのを待った、すると。
夫は家に帰ると妻にやれやれという顔で言った。
「お袋からメール来たよ」
「そうなの」
「俺の猫のこと知ったんだな」
「ええ」
妻は夫に微笑んで答えた。
「お義母さんからね」
「隠していたのにな」
「いや、遅そうなおしたり遊んだりしてたでしょ」
「見てたんだな」
「気付くわよ」
このことも微笑んで答えた。
「家族だから」
「そこからお袋に聞いたんだな」
「若しかしてって思ってね」
「そうだよ、俺実は猫好きだよ」
夫は遂に白状した。
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