第二章
[8]前話
「玄関に置きましょう」
「ああ、母さんを待ってるんだな」
「そうね、絶対にね」
「それじゃあな」
「ご飯とお水は玄関に置いて」
「あずきは母さんを待ってるからな」
「私達はあの娘がお母さんが帰って来るまで玄関で気持ちよく待てる様にしましょう」
二人でこう話してだった。
椛は実際にあずきのご飯やお水を入れるお皿を玄関に置いてそこで彼女が食事を食べて水を飲める様にしてだった。
気持ちよく寝られる様に毛布も置いた、すると。
椛はずっと玄関にいる様になった。本当にトイレの時以外は離れずトイレもかなり早く行う様になった。
そんなあずきを椛も父も自分達の家事をしつつフォローをしていったが母は手術を終えてそうしてだった。
退院する日が来た、椛はその日が決まると会社に行く時にあずきに話した、すると。
あずきは目を輝かせた、そうして鳴いた。
「ニャア」
「その日は間もなくだからね」
「ニャンニャン」
あずきの返事は嬉しそうだった、それでだった。
そのままずっと玄関で母を待っていたが上機嫌になっていた、そうして。
母が退院して迎えに来た娘と一緒に玄関に入るとだった、あずきは。
「ニャンニャンニャン!」
「えっ、あずき」
「うん、あずきお母さんずっと待ってたの」
娘は母に笑顔で話した。
「お母さんが入院している間ね」
「そうだったの」
「それでね」
娘はさらに話した。
「お母さんが帰ってきてね」
「凄く喜んでくれてるのね」
「そうよ、こうしてね」
「よかったわ」
母は自分に飛びついてきて嬉しそうに足元に顔を擦り付けてきているあずきを見ながら娘に対して話した。
「退院出来て、それであずきが待っていてくれて」
「そうよね」
「癌になったことは嫌だったけれど」
「無事に退院出来てね」
「それであずきが待っていてくれたから」
「よかったわね」
「ええ、只今あずき」
母は今も自分に頭を擦り付けてきているあずきに話した。
「ずっと心配してくれていて有り難う」
「ニャンッ」
あずきは母に顔を上げて笑顔で応えた、そうしてだった。
母はその彼女を抱き上げて一緒に家の中に入った。そうして娘と共にリビングで楽しい時間を過ごした。久し振りに過ごした一緒の時間はとても楽しいものだった。それは父が帰ってきても同じだった。
お母さんを待って 完
2020・9・20
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