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レーヴァティン
第百七十二話 甲斐平定その五

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「そしてだ」
「はい、そのうえで」
「実際にですね」
「話を聞き出すか隙を見て手にかける」
「それがくノ一の仕事です」
「普通の忍の仕事もするが」
 忍びそうして探ることもだ、忍者は闇に隠れそうして話を聞くのが本来の仕事であるのだ。物陰に潜んだり変装してだ。
「しかしな」
「女ならばです」
「女の仕事があります」
「そしてです」
「聞き出したり」
「そして手にかけることも」
「どうしてこようともだ」 
 話を聞き出そうとしても手にかけようとしてもというのだ。
「やはりな」
「目に出る」
「それでわかる」
「だからですね」
「そこを探り」
「そうしてですか」
「あえて床を共にしてだ」
 そしてというのだ。
「そこで捕える、普通の女は床で目を剣呑に光らせない」
「ですな、確かに」
「それはないです」
「普通の女なら」
「床でそうした目をするなぞです」
「ありません」
「だがそれを見抜くことは難しい」
 その剣呑な光、目に宿るそれをというのだ。
「相手も隠す、だからな」
「それを見出すことはですね」
「非常に難しい」
「どうしても」
「しかしですね」
「上様はですね」
「これまで多くの戦を経てきた」
 魔物そして賊達とだ、英雄は十二人の仲間達を揃えるまで浮島中を旅しその中で幾百もの勝負を経てきた。西の浮島で久志と共にいた時も同じだ。
「そこでだ」
「相手の目を見て来て」
「そうしてですな」
「上様はわかる様になられましたな」
「戦いの中で」
「隠密の目は独特のものがある」
 英雄は街でそうした者達とも戦ってきた、それも幾度も。それでわかっているのだ。
「何もない風に寄ってきてが」
「それがですね」
「その実はですな」
「密かに狙うものがあり」
「それが目に出て来る」
「そういうことだ、それでだ」
 まさにというのだ。
「俺は幾多の戦いでわかってきた」
「そしてですな」
「若しそうした者が来ても」
「それでもですな」
「見破られ」
「捕まえられますか」
「俺自身でな、だからそうした女はだ」
 まさにというのだ。
「俺が相手をしやる、無論だ」
「楽しまれますか」
「そうした女でも」
「そうされますか」
「女ならな、だがそうした女にも無理強いはしない」
 決して、そうした口調での言葉だった。
「俺はな」
「それが上様ですな」
「おなごはお好きですが無理強いはされない」
「それは絶対のことですな」
「そうした趣味はないからな」
 このことは絶対のことだった。
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