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レーヴァティン
第百七十二話 甲斐平定その四

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「楽しむのならお互いだ」
「私達もですか」
「楽しめと」
「夜を」
「そうしたお考えですか」
「そうなのですか」
「それがこうした宴だな」
 性のそれだというのだ。
「男だけ楽しんでもだ」
「それでもですね」
「意味がない」
「そうだというのですね」
「夜の宴というものは」
「男も女もですか」
「楽しんでこそだ、では再びだ」
 まさにというのだ。
「お前達をそれぞれ抱く」
「では」
 女達は英雄の傍に集まった、そうしてだった。
 英雄は五人の女達の身体を楽しみ続けた、それが終わってから彼女達と共に寝た。そして朝になるとだった。
 幕府の重臣達今は軍の将帥達である彼等と共に朝飯を食いつつ言った。
「お前達は夜はどうした」
「はい、楽しんでいました」
「我々も」
「そうしていました」
「ならいい、楽しむ姿をな」 
 まさにそれをというのだ。
「今は城の者達に見せることだ」
「相手の戦意を削ぐ為に」
「まさにその為にですね」
「そうしていきますね」
「今は」
「そうだ、あと遊女と称してだ」
 身分を偽ってというのだ。
「甲斐そして他の勢力の者達の刺客なり密偵はだ」
「気をつける」
「その様にですか」
「言われますか」
「そうした女達は俺が相手をする」
 平然と、表情を変えずに朝飯の粥を食べつつ言った。
「だからな」
「上様のところにですか」
「送り」
「そしてですか」
「上様がですか」
「相手をする、俺には相当な刺客もだ」
 例え女がそれであってもというのだ。
「何ということはない、毒や病を盛ろうにもな」
「上様は気付かれますね」
「最初にお会いした時点で」
「左様ですね」
「そうした女は目が違う」
 そこでわかるというのだ。
「どれだけ装っていてもだ」
「目ですか」
「目でわかりますか」
「そうした者達も」
「そうなのですね」
「だからだ」
 それ故にというのだ。
「そうした女は俺のところに連れて来るのだ、そして俺ならな」
「そうした者達にとっては格好の相手である」
「だからですか」
「進んできますか」
「そして捕えてやる」
 こう言うのだった。
「その時にな」
「そうされますか」
「上様ご自身が相手をされて」
「そうしてですか」
「捕まえられますか」
「ご自身で」
「そうするから安心するのだ」 
 そうした女が入ってもというのだ。
「くノ一でもな」
「くノ一、確かにです」
「それが入ることもあります」
「くノ一はそれが仕事です」
「女の武器を使うことが」
「色香で男をたらし込み」
 そうしてというのだ。
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