暁 〜小説投稿サイト〜
八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
第二百八十六話 色鉛筆その十
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「わかりやすい文章だから」
「志賀直哉が何を言いたいのか」
「本当にわかりやすいから」
「学校の授業と一緒かしら」
 香織さんは僕の話をここまで聞いてこう言った。
「わかりやすい授業がいいのね」
「わからない授業なんて」
 それこそだ。
「駄目だしね」
「そうよね」
「そんな先生もいるみたいだし」
 八条学園ではいない、そうしたことも観られるからだという。
「公立の学校には多いらしいね」
「実際に多いわよ」
「ああ、やっぱり」
「ええ、私ここに来るまで公立の学校だったけれど」
「北海道の」
「ええ、中二の頃の数学の先生が」
 この人がというのだ。
「物凄い授業が下手で」
「それでだったんだ」
「全くわからない授業するってね」
 このことでというのだ。
「有名だったの」
「そうだったの」
「先輩の人達もあの人の授業わからないって言ってて」 
 それでというのだ。
「評判悪かったのよ、挙句には実家がお寿司屋さんで」
「ああ、お寿司屋になれとか」
「先生辞めてね」
「教えるのがあんまり下手だから」
「生徒にそう言われてたのよ」
「それで授業わかりやすくなったの?」
 僕はまずそれはないという顔で尋ねた。
「皮肉に気付いて」
「まさか」
「気付かなかったんだね」
「そうだったの」
 僕の予想は当たった、そうした先生は全く改善しない。人にものを教える人が全く成長しないとかそれだけで駄目だろうにしても。
「それでね」
「笑って言ってたのよ」
「冗談で言われてるって思ってたんだ」
「完全にね」
「相当鈍感だったんだね」
「ある先輩面と向かってお前の授業わからないって言ったそうよ」
「それも凄いね」
 どれだけ教えるのが下手だったかわかった。
「はっきり言われるとか」
「それでも変わらなかったし」
「変わる気なかったのかな」
「何でも公立だからやっていけたみたいよ」
 公立学校の先生は公務員だ、だから組合活動も出来ない筈だけれど日教組なんていう組織が存在している。
「クビにならないでね」
「生徒が迷惑だね」
「塾の先生だったらクビよね」
「もう授業わからなかったら」
 その時点でだ。
「意味ないから」
「そうなるわね、けれどね」
「公立だったから」
「もうずっと先生やってて」
「わからない授業続けてたんだ」
「何十年もね」
「何十年も成長しないっていうのもね」
「凄いわね」
「よっぽど才能がないか」
 人にものを教えるそれがだ。
「努力していないか」
「どっちかよね」
「うん、酷いね」
「だからその先生の授業皆聞いてなかったのよ」
「聞いてもわからないからだね」
「自分で勉強するか塾に行くか」
 香織さんはさらに言った。
「もう
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ