ターン32 鉄砲水と古代の叡智
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する……無論、オーバーレイ・ユニット1つを使う必要こそありますがね」
No.36 先史遺産−超機関フォーク=ヒューク(2)→(1)
No.37 希望織竜スパイダー・シャーク 攻1800→0
ようやく収まってきた砂煙の向こう側に、チャクチャルさんの指摘した古代都市の建物が僕にも見え始める。幾年もの歳月にさらされて滅んで久しかったはずのその機関には再び光が灯り、あたりをぐるりと取り囲む石造りの堅牢な屋根にバチバチと激しいプラズマが走る。
警告の声など、間に合うはずもなく。海底の古代都市の中央で、次の瞬間に周囲から一斉に放たれたエネルギー波がスパイダー・シャークの全身を縛り付けた。先ほどの比ではない怒りと苦悶の声なき声が、水中を震わせる。
「ははは、どうですかフォーク=ヒュークの力は!」
「スパイダー……ここしかない!フィールドのモンスターが効果を発動したこの瞬間、手札から幽鬼うさぎの効果を発動。このカードを捨てて、フォーク=ヒュークを破壊する!」
気泡を纏って僕の隣に現れた、銀髪赤目の妖怪少女。これが、温存していた僕の切り札。もっと早く、それこそゴルディアス・ユナイト召喚の時点で破壊することもできたのだが、それだとこのエクシーズ召喚を確実に止められた保証がない。しかも僕は事前情報で、【先史遺産】がエクシーズテーマであることを知っていた。エクシーズモンスターはその性質上、オーバーレイ・ユニットがないと100%の力を出し切れないことが多い。ならばあえて召喚を待ち、エクシーズ素材ごと墓地に叩き落としてやる方が効果的だと踏んだのだ。
海中を銀色の風となって、滅びた都市の石畳を駆ける幽鬼うさぎ。その道中で振り回される鎌の一撃が年月の重みに耐えてきた堅牢な建物を切り裂き、周りの海水をものともせずに揺らめく鬼火が機関の中央部で爆ぜ、なにか動力部に致命傷を与えたらしい。あちこちで小規模な爆発を引き起こしながら、浮かび上がったフォーク=ヒュークがゆっくりと撃墜されて元の海底に沈んでいく。
「さあ、ご自慢のオーパーツはまた歴史の闇に逆戻り。次は何を見せてくれるね、ええ?」
「おのれ……!」
消えていくソリッドビジョンの都市を横目に、ひと暴れしたあげく大物を潰して満足げな幽鬼うさぎがぴょんぴょんと足取り軽く僕の元へと帰ってくる。こちらが掲げた手にジャンプからのハイタッチを決め、その姿が気泡となって消えた。ハイタッチにも付き合ってくれるとは、いつもクールぶってるあの子にしては本当に機嫌がいいらしい。
そして、それとは対照的にこめかみをひくつかせ、首に青筋立てて切れかけているのが潜水艇の徳川だった。からかいがいがあって面白いと言えば面白いけど、あいにく今はそんな気分じゃない。糸巻さんがどうしてるかも知りたいし、この
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