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遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン32 鉄砲水と古代の叡智
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「デュエルディスク。見たこともないモデルですが、確かにそうですね。つまりこの私、徳川学三郎(とくがわがくさぶろう)にデュエルを売ろうと、そういうことですか?」

 少しずつこちらに降り注ぐライトの光に目が慣れてきて、潜水艇からこちらを見下ろす男の姿も次第にとらえられるようになってきた。そしてようやく拝めたその顔は、スカした言葉遣いや神経質そうな声色から思い描いていたイメージ通り。角ばった眼鏡に常に何かにいらいらしているようなツンとした顔つき、そして七三分けの髪。何もかもが予想通り過ぎて、また吹き出しそうになったぐらいだ。
 と、そこでまたチャクチャルさんの声がした。

『いまだマスター、軽く挑発を入れておけ。あの手の輩は自分より下と見た相手と戦うことを嫌う傾向が強い半面、煽り耐性もないから少しからかうとすぐ乗ってくる。ここまできてデュエルをしない、なんてことになってみろ、それこそお笑い草だ』
「……えーと……徳川、学三郎?悪いけど、テロリストの人材難も著しいみたいね。どこの誰かもよくわかんない馬の骨まで駆り出さないと駄目だなんて、敵ながら嘆かわしいってやつかね」

 咄嗟に振られたものだから、たった今言われたことを叩き返すぐらいしかできなかった。僕ですら聞き流せたこんな挑発にいい年した大人が乗ってくれるだろうか、そんな不安は潜航艇の中の徳川とやらの顔を見上げた瞬間吹き飛んだ。間違いなく効いていることを確認し、こんなちょろいので大丈夫なんだろうか、といらぬ心配までしそうになる。しそうになるだけだけど。おーおー、顔真っ赤にしちゃってまあ。

「知らない?この私を!?人呼んで『ロストテクノロジスト』の徳川学三郎をですよ!?」

 当然、異邦人の僕が知るわけない。それにしても二つ名持ちということは、この人も元プロか。やがて怒りをどうにか抑えたのか、息を荒くしながらも徳川とやらがデュエルディスクを構える。同時に潜水艇が海底へと着地し、煙のように砂を巻き上げた。腰を据えてやりあおうってわけか、いいじゃない。それなら、デュエルと洒落込もうか。

「「デュエル!」」

「先攻は貰った、僕のターン」

 海中でカードを引き抜くが、これでカードが駄目になるようなことはない。この服だって、陸に上がればすぐに乾く。うちの神様は、そういう細かい気配りのできる神様なのだ。だから僕は、それを全面的に信頼する。

「ライトハンド・シャークを通常召喚!そしてこのカードの召喚に成功した時、デッキからレフトハンド・シャークのカード1枚を手札に加えることができる」

 ライトハンド・シャーク 攻1500

 体の上部にきっかり5本、まるで爪のようなひれを生やした青い鮫。魚族では珍しいアドバンテージを稼げる効果によって、僕の手札にその対とな
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