暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン32 鉄砲水と古代の叡智
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「アークナイトとサンダー・ザ・キングをリリース。これが僕の切り札、その攻撃力はリリースしたモンスターたちの合計値。アドバンス召喚、霧の王(キングミスト)!」

 霧の王 攻5400

 満を持して、まあ今回に限っては出す意味が戦術的には特にないけれど、ともあれ僕の切り札にして最高最大のフェイバリットカード。霧の魔法剣士がカオス・アトランタルやフォーク=ヒューク、化石モンスターの骨鎧の残骸とその大暴れした証拠であるたくさんのクレーターに溢れる海底へと音もなく着地した。

「バトル……の前に。そろそろ空気も恋しくなってきたし、上に行こうじゃないの。下手に抵抗して逆に変なとこに当たったら目覚めも悪いしね。クモグス、頼むよ」

 そうウインクすると、やっぱりかわいいうちの子には言いたいことがちゃんと伝わったらしい。細長い脚を器用に動かして潜水艇を持ち上げ、内側からの抗議の声も構わず背中に乗せてひらりと水中に身を躍らせて浮上していく。

『親バカだな』

 そんな言葉を後ろに聞きながら、同じく海底を蹴って水面へと飛ぶ霧の王の手に掴まって僕もその後を追うように浮上した。僕が自力で潜った時よりもはるかに速いスピードによって周りの風景がぐんぐん明るくなり、すぐに水面に顔が出る。
 さて、これで多少の無茶をしてもまあ命にかかわることはないだろう。隣で同じく立ち泳ぎの姿勢で頭だけ水面に出している霧の王に頷くと、もう1度水を蹴って水上へと飛び出した。水しぶきを立て、大上段に構えた剣がクモグスの背に転がった潜水艇へと叩きつけられる。

「やっちゃえ霧の王!最後の攻撃、ミスト・ストラングル!」

 霧の王 攻5400→粘糸壊獣クモグス 攻2400(破壊)
 徳川 LP1000→0

 悲鳴がしたような気もしたが、それも真っ二つにされた潜水艇が爆発、炎上する派手な音にかき消されてほとんど聞こえなかった。その直後、徳川の首根っこを掴んで炎から飛び出した霧の王。





「……さて。どーしようかねこれから」

 デュエルが終わった今、次に何をするか考える必要がある。とりあえず足場が欲しいと実体化してもらった海亀壊獣ガメシエルの甲羅の上で胡坐をかき、傍らに浮かぶ壊れた潜水艇とその上で途方に暮れる徳川を見る。まあどうしようと言ったって、こんこまで首突っ込んでおいて終わったから帰ろうなんて選択肢はないわけだけど。

「へいへーい、ちょっと聞きたいんだけど。この迷いの霧、どうやったら抜けられるのさ」
「馬鹿馬鹿しいね。そんなこと教えるはず……!」
「え、なに、それ沈めてもいいって?」

 まだ抵抗できるのは偉いけれど、もう少し自分の立場というものを考えて欲しい。これ見よがしに耳に手を当てて聞いてやると、徳川から最後の空元気が
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