暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン32 鉄砲水と古代の叡智
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次はカオス・アトランタルの番だ。

「といっても、正攻法なんて使う気はないけどね!魔法カード、妨げられた壊獣の眠り!フィールドのモンスターをすべて破壊し、デッキから壊獣2種類を1体ずつ互いの場に攻撃表示、かつ強制攻撃のデメリットを付与した状態で特殊召喚する!」
「私の……カオス・アトランタルを……!」
「海の底から出てくるのは、昔から大怪獣って相場が決まってるもんさ。古代都市にはやっぱり、歴史の闇で大人しくしててもらうよ!」

 力強い大渦、壊獣の眠りを妨げるエネルギーの塊が、クレーターだらけになったあたりの砂をまたしても巻き上げる。破壊の嵐はカオス・アトランタルのみならず、僕の場のアークナイトさえも巻き込もうとして……。

「いまだ、アークナイト!このカードが破壊される場合、そのオーバーレイ・ユニット1つを身代わりにできる返すよ、スカルキング」

 No.101 S・H・|Ark Knight(1)→(0)

 再び放たれたアンカーが、そこら中に開いたクレーターの縁に引っかかる。これにより僕の方舟は破壊の嵐に吹き飛ばされることを免れたが、カオス・アトランタルはそうもいかない。巨体の内側から溢れ出る無尽蔵かに思われたそのエネルギーも絶え間なく押し寄せる海水によって強制的に冷やされ、奪われ、急激な温度の低下によって脆くなったその体が次第に崩れていく。最初はほんの砂程度、しかしその全身に入り巨体を蝕むひび割れは加速度的に広がった。落ち行く砂は石になり、その石のかけらもまた、より大きな岩に。巨人の体が、ゆっくりと崩れ落ちていった。

「さあ、おいで!雷撃壊獣サンダー・ザ・キング、粘糸壊獣クモグス!」

 雷撃壊獣サンダー・ザ・キング 攻3300
 粘糸壊獣クモグス 攻2400

 3つの首を持つ帯電した雷龍は僕のフィールドへ、陸地で構える巨大な蜘蛛の姿をしたもう1体の壊獣は徳川のモンスターゾーンに。僕の可愛い壊獣が、フィールドを一気に埋める、
 しかしこれが理不尽とはえらい言われよう、大変遺憾である。

「さて、大分僕好みのフィールドになってきたわけだけど」
「ひっ!?」

 ぎろりと睨みつけると、潜水艇のガラス越しに徳川が身を固くする。もっとも、それも無理はない。ここまで盤面が出来上がってしまえばもはや敗北が確定したことぐらい、小学生でも理解できる話からだ。

「このまま攻撃すれば、それだけで終わるわけだけど……散々好きに言ってくれたうえ、1万オーバーのライフをここまで書き換えてくれたんだ。それじゃあ、僕の気が済まないよねえ?」

 何か言おうとして言葉が出ないのか、パクパクと酸欠の金魚のように蒼白になった顔で口を開いては閉じる徳川。申し訳な……くはないけれど、あと一手だけ付き合ってもらうとしよう。


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