14ー私の想いを
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てるの?」
「え?」
そう、こうやって私を襲おうとしてる佳の目から涙が流れていた。その涙は頬を伝って私の顔に堕ちる。
「これは……違う!僕は……僕は…。」
そして佳はこの前のALOの中の時のように小さな子供のように泣いていた。
私はくすっと笑う。
「…なに笑ってるの?今、襲われてるんだよ?僕を早く嫌ってよ!嫌いになってよ!」
「…大丈夫よ。佳。」
そう言って私は腕を佳の首に回す。そして2回目のため息をつく。
「大方、私に嫌われることすれば今の気持ちに踏ん切りがつくと思ったんだろうけど…お生憎様。そんな事で嫌いになる女じゃないのよね。」
「うるさい!本当に襲うよ!僕は本気だからね!」
「それじゃあ早く襲いなさいよ。」
私はそう言って首に回していた腕を戻してそのまま仰向けになる。完全に無防備な体制。襲おうと思えばいくらでも襲える体制だ。
「…僕は。」
そう言って佳は私に覆いかぶさろうとする体制をやめて私の隣に横向きになって寝転ぶ。横向きなので顔は見えない。
「ほらね。やっぱり佳はそんなこと出来ない。」
「…うるさい。」
そう言って3分ほど私達はそのままの姿勢だったのだが急に私の方を向いた。
その時の佳の目は真剣だった。
「ねえ。詩乃。
僕はやっぱり詩乃が好き。でもね。好きだけど好きな気持ちが欠けてるんだ。」
佳はそう言っていつもの優しい笑顔になる。
「だから。取り戻したい。僕はこの欠けてる気持ちを。」
「佳。」
そう言って起き上がると私の頭を優しく撫でる。
「だから。ごめんね。怖い思いさせて。」
「別にいいわよ。」
私も起き上がると真正面から佳を見つめる。沈黙が私達を包む。
「…………。」
「え?キスするタイミングだった?」
「…本当に空気読めないわね。」
「まあね。」
佳はそうとぼけてベッドから降りる。そして私の大切な人はニコリと笑って。
「恋をしたんだ♪恋をしているんだ♪ってね?」
そう歌うと佳はくるりとターンをして。
「うん。ありがとう。詩乃。元気でた。」
「…今回は本当みたいね。」
あの夜のように無理やり作った笑顔ではなく、自然な笑みだった。そして少し申し訳なさそうに。
「でも僕1人じゃ無理かもしれない。駄目な時は頼るよ?詩乃。」
「全然いいわよ。」
そう言って私たちは笑顔でハイタッチして。
「よろしくね!詩乃!」
「ええ!任せて佳!」
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