第百四話 まずすることその十
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「白い星が輝きを増しています」
「白い星がか」
「はい」
それがというのだ。
「そうなっております」
「白は当家の色であるな」
「左様でありますな」
「当家の者は服も冠も白でな」
それで統一されている、このことは彼等の父である早雲からのことであり彼は伊勢新九郎という名の頃から服等は全て白であった。
「戦の時もじゃな」
「具足も旗も鞍もですな」
「全て白じゃ」
「足軽達に至るまで」
彼等の着ている服もなのだ。
「そして槍や弓も」
「そうしておるな」
「まさに当家の色は白であります」
「それで白い星がか」
「輝きを増しております」
そうなっているというのだ。
「そしてです」
「そのうえでか」
「はい、周りの星達を圧しています」
「北条家がそうなるか」
「そうなるかと」
「そうか、それはよい」
「そして将星が一つ落ちました」
幻庵はさらに話した。
「それが」
「将星がか」
「二つあるうちの一つが、もう一つもです」
そちらの星もというのだ。
「輝きを大きく落としております」
「二つのか」
「どうもです」
「その二つの星は両上杉か」
氏綱はすぐに察して述べた。
「それか」
「おそらくは」
「その片方がなくなりか」
「もう片方もです」
「大きく弱まるか」
「そうなります」
まさにというのだ。
「ですから」
「それでか」
「はい、ですから」
それでというのだ。
「当家にとって幸先よいかと」
「それはよいことな」
「ただ残った星に別の星が近寄ってきて」
「そしてか」
「その星が強まっています」
「それはどういうことか」
「わかりませんな」
「どうにも」
それはとだ、幻庵もこのことは疑った。そしてだった。
その話をしてだ、氏綱はまた言った。
「その星のことは気になるが」
「それでもですな」
「まずは両上杉でな」
それでというのだ。
「関東を掌握じゃ」
「それを優先させますな」
「ではな」
「それでは」
「そうする、関東を手中に収めれば」
そうすればというのだ。
「その後はな」
「もうですな」
「領地、関東を守り」
そしてというのだ。
「そのうえでな」
「もう攻めぬ」
「西には進まず」
「奥羽にもですな」
「進まぬ」
そちらにもというのだ。
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