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黄泉ブックタワー
第三章 黒き天使
第12話 (やっぱり、最高だよ)
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す。短い間でしたけど、彼のことは一生忘れません」

 それを聞くと、本魔の代表者はまた笑った。
 やはりミナトにはあまり似ていない気がしたが、優しい笑顔だった。

「ありがとう。息子が君に求めた対価については、読書量と死後に魔本になる確率は正の相関があるから、実行してもらえるに越したことはないが……。まあ、私からは無理しなくてもよいと言っておこう。君が死後に魔本になるかどうかは、この塔の運営上は誤差の範囲内でしかない」

 答えは一つだった。

「いえ、それでも読みます。彼との約束を守りたいです」

 約束は破らないと言ったときの、ミナトの嬉しそうな顔。それははっきりと覚えていた。

「それに彼は、魔本でなくても、『本には書いた人の人生が詰まっている』って言ってました。だから読めって」
「ほう、なるほど。それは事実だ。きっとあの子のことだ。君のことを本気で思って言ったことなのだろう」

 息子の遺志を尊重してくれること、感謝する――
 彼はそう言って、アカリの顔に手のひらを向けた。

 次の瞬間、アカリの体が光に包まれた。
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