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黄泉ブックタワー
第三章 黒き天使
第12話 (やっぱり、最高だよ)
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か……。誰の魂から作られたものか、教えてもらうことはできますか」
「ほう、気づいたようだな。そのとおりだ。この魔本のもとになった魂の持ち主は、西海枝京介。君のおじいさんだ」

 ……。

 旅行中に聞いていた魔本読み上げの言葉。あれらはすべて、祖父の言葉だったのだ。
 ミナトに対し、どこか懐かしさを感じ続けていた理由がわかった。
 でも、なんで……。

「人名からこの塔の蔵書を探すのは少し大変でね。息子は必死に探していたようだよ」

 あ――。
 彼にぶつけて却下された、願い。

『私のおじいちゃんを、生き返らせてよ』

 ……。
 どうしてだろう。
 どうして――。

「どうして、そんなに優しいの……」

 そのつぶやきで、また彼が穏やかに笑った。

「そういう子だ、ということもあるが……。きっと、契約者が君だったから、ということもあるのかもしれないね」
「ミナトは、何か言ってたんですか?」

「何かどころか、ここ最近は、いつもここで君の話をしていたよ。契約した女の子は、引っ叩いてくれて、怒鳴ってくれて、からかってくれて、嫌な顔をしてくれて、足を拭いてくれて、面白い本を貸してくれて――と、ずいぶん感謝していたね」
「……」
「なのに、その子には友達がいないみたいなんだ、とも言っていた。息子もあんな性格なので、この塔では異端扱いされていた。塔の仕事は一生懸命にやる子だったから、追い出そうという声はなかったが……。周りからは完全に浮いていて、親しい友人もおらず、空いている時間はいつもここで本を読んでいたよ。だから君の中に同じ部分を見つけて、親近感を持ったのかもしれないね」

 いや、それは同じ部分ではない。
 口には出さなかったが、アカリはそう思った。

 ミナトが実は孤独だった――それは本魔として生まれたからだ。
 彼は優しくて、明るくて、前向きで、一生懸命で、いつも楽しそうで、こちらが求めていないことまでやってくれて。完璧だった。自分にないものを全部持っていると思うくらいだった。

 彼は生まれたところが不運だっただけだ。
 人間に生まれてきさえすれば、きっと誰からも愛されるような存在になっていたはずだ。
 生まれたところが不運だったばっかりに。
 人間として生まれてこなかったばっかりに――。

 だが自分は違う。生まれたところは不運ではない。
 だから、彼と同じではない。
 彼の父親が同じと言ってくれるのはよくても、自分がそう考えてしまうのは、あまりにも彼に申し訳ないと思った。

「さて。ではもういいかな。君を地上に転送しよう」

 本魔の代表者は、L字カウンターから出てきた。
 アカリも席から立ち上がり、彼と向き合う。

「私……彼に出会えてよかったで
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