第二章 旅は魔本とともに
第9話 これがいいきっかけになれば、嬉しいな
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左右の幅も狭いため、まともに立つと斜めの壁に頭をぶつける。中腰以外の体勢がなかなか許されない。
「きっつ……」
「アカリ頑張れー」
「頑張ってください」
案内人は慣れているという理由で、ミナトも悪魔だからという謎の理由で、スイスイと進めてしまうようだ。しかし、二人ともアカリの速度に合わせてくれていた。
ときおり、パズルのように隙間へ体を嵌めるようにしないと進めないところもあった。アカリはヒイヒイ言いながら、全身を動かして進んだ。
下を流れる水だけでなく、洞内の何もかもがひどく濡れている。
そのため、レインコートの下に着ていた服も、いつのまにか水の侵入でずぶ濡れになっていった。
「……」
暗い。狭い。腰が痛い。服が濡れて体にへばりつく。冷たすぎて足の感覚がない。鍾乳石に頭をぶつけて痛い。
ひたすらそれが続き、あきらめの境地に達していたところで――。
「はい。ここが終点です」
「おおおお!」
最奥に到着。
アカリは歓喜の声を出した。
「アカリー」
振り返ると、ミナトが笑顔で右手を挙げている。
アカリはその手のひらに、自分の右手を思いっきり合わせた。
パチンという音が、洞内によく響いた。
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