第二章 旅は魔本とともに
第7話 いい気分、なのかな
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が使っていいんだ?」
「もちろん!」
「ありがとう。あんたは?」
「俺はあんまり暑いとか寒いとかないんで大丈夫だぞ?」
「へー。じゃあなんでこんなの持ってたの?」
「ちゃんと調べたからな。鍾乳洞は地中にあるから、夏でも冬でもそんなに温度が変わらないんだ。夏でも涼しいどころか寒く感じる人が多いってよ」
「……」
さらに進んでいくと、巨大なホールのような場所に着いた。
「うわ、すごいね」
鍾乳石で複雑な形状をした天井は、見上げているとめまいがするほどの高さがあった。
「ここは『天岩御殿』という名前がついてる。この天岩洞の一番の見どころらしいぞ」
ミナトがガイドブックを見ながらそう説明したが、アカリはその言葉が頭の中で処理されないくらい、このドームの景色に圧倒されていた。
カーテンのように上から膜状に垂れ下がる鍾乳石、つららのように鋭く地を睨む鍾乳石、今にも流れ出しそうな滝の形をした鍾乳石。神殿の円柱のように太く構えている鍾乳石。下からタケノコのように生えている鍾乳石。
それらのすべてに、神秘的な造形美がある。
大自然の力による非日常的な空間。
まるで違う世界に来たかのような感覚だった。
「アカリ」
この異世界感は、体が覚えている。アカリはそう思った。
少し、懐かしさを感じた。これは気のせいではない。
「おーい、アカリ」
この洞の雰囲気と昔の記憶に完全に浸ってしまい、ミナトに名前を呼ばれていることにも気づかなかった。
「アカリー。こっち向いてみ」
右肩を後ろからトントンと叩かれ、アカリは我に返った。
「ん? 何……ぎゃあああああっ!」
すぐ目の前に出されていたのは、人差し指から逆さまにぶら下がった、茶褐色の小さな生き物。
コウモリだった。
「あははは。アカリ驚いてやんの」
「当たり前でしょ! 何してくれてんの!」
「いや、でもよく見てみ。結構こいつらかわいいぞ?」
ふたたび人差し指を目の前に出してくるミナト。
コウモリは大人しくぶら下がっているようで、動きはない。
アカリはその様子から、いちおうは安全なのだろうと判断し、近くから観察する。
やや突出している鼻、丸く小さな目、ピンと伸びた大きな耳、意外に柔らかそうな体毛。
しばらく眺めていたら、アカリにはそれらのパーツが絶妙なアンバランスさに感じ、とても愛嬌のある姿に思えてきた。
「……たしかに。ちょっとかわいいかも?」
「だろー?」
ミナトが無邪気に笑い、「よかったな。好かれたみたいだぞ」とコウモリに話しかけた。
すると、なぜか多数のコウモリがどこからか飛来し、彼の頭上近くでホバリングを開始した。
そして彼は、空いて
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