第百四十三話 罠
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帝国暦484年10月22日
■オーディン ノイエ・サンスーシ謁見の間
士官学校時代の悪事により、熱砂の惑星へ研修という名目の島流しに遭っていたフレーゲル男爵達は、島流し期間が過ぎた後も、軍人としても貴族としても全く相手にされず、自宅謹慎状態で有った為、伝手を使って各所に懇願し今日皇帝陛下との謁見が許されたのであるが、別にフレーゲル男爵達を哀れんだとか、伝手が効いたとかではなく、単にテレーゼの戦略上彼等が必要だからというだけだった。
フレーゲル男爵達が謁見の間へ通されると、この所では珍しく酒に酔ったフリードリヒ四世が居たが、フレーゲル男爵達は、この所の皇帝の姿を知らないために、以前の姿と同じだとしか感じなかったが、最近の陛下の姿を知るもの達にすれば、おかしな態度と言えた。
陛下の隣には、国務尚書リヒテンラーデ侯と珍しく軍務尚書エーレンベルク元帥が侍従していたのも不思議であった。
「陛下、フレーゲル男爵、ヒルデスハイム伯爵子息、達でございます」
リヒテンラーデ侯の言葉に、酔っていたフリードリヒ四世が顔を上げて、フレーゲル男爵達に話しかける。
「フレーゲル男爵、其方の行いし行為は目に余ったが、反省したようじゃな。そこでそち達に汚名挽回の機会を与えよう、詳しくは軍務尚書より聞くがよい」
フリードリヒ四世の言葉でエーレンベルク元帥が説明し始める。
「フレーゲル男爵、卿等の処遇だが、我が軍は明年早々叛乱軍に対して懲罰行動を行う事となった。その作戦に卿等を参加させる事と成った。此は全て陛下のご温情により、卿等に汚名挽回をさせよとの思し召しだ」
「はっ、我らに汚名挽回をさせて頂くとは、陛下のご温情は心に染みいります」
真面目な表情で、汚名挽回を言いまくるフレーゲル男爵達であるが、間違えているのではなく、陛下自身が汚名挽回と言っている以上は、それを指摘する訳にも行かないので、汚名挽回と言っているのである。
しかし酔ったふりをしているフリードリヒ四世やそれを真面目に聞いているリヒテンラーデ侯、エーレンベルク元帥は、内心では大笑いしながらそれを顔に出さぬように苦労していた。そして別室でその話を見ているテレーゼやグリンメルスハウゼンなどは大笑いしていた。
「フレーゲル、ヒルデスハイム、アイゼンフート、シェッツラー、シャイド、御苦労であった」
そう言うと酔ったフリードリヒ四世は侍従達に両脇を抱えられながら、退出していき、謁見の間には、フレーゲル男爵達とリヒテンラーデ侯、エーレンベルク元帥が残った。
「さて、明年早々叛乱軍に対しての作戦だが、卿等には正規艦隊の参謀をして貰う事に成った。其処でヨアヒム・フォン・フレーゲルとロベルト・フォン・ヒルデスハイムを准将にコンラート・フォン・アイゼンフート、フィリップ
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