酔客達のよもやま話
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った奴をバカと呼ばずしてなんと呼ぶ?阿呆か、間抜けか?」
「うぐぅ、反論出来ないぃ……」
ガクリ、と伊勢がカウンターに突っ伏した。最近顔が丸くなったなぁとは思っていたが、気のせいじゃなかったのか。
「いやいや、やっぱりビールに合うって言ったらフレンチフライでしょ!」
「フレンチフライ?」
フライドポテトだよ、フライドポテト。
「あ〜、フライドポテト!良いですねぇ。揚げたての熱々の奴をパクっといって、そこに冷たいビールをキューっと……」
なんて会話を目の前で交わしているのはアイオワと吹雪だ。あんまり見かけない、珍しい取り合わせだ。
「さっきお風呂で一緒になりまして、上がったら一杯行こうって話に」
成る程、裸の付き合いからの飲みニケーションか。アイオワも随分日本馴れしてきたんじゃないか?
「ふふ、まぁね。でもビスマルクには負けるかな?」
アイオワに示された方を見れば、ビス子ことビスマルクがグラーフ相手にテーブル席で管を巻いていた。
「らからぁ、ビールに一番合う揚げ物はスルメ!スルメの天ぷらなの!わかる!?」
「わかった、わかったから。今日は飲み過ぎだぞ?ビスマルク。何かあったのか?」
「なんもないわよぉ!演習先の鎮守府のあたしに、『ドイツ艦ぽくない』とか言われたって、別にきにしてないんらからぁ!」
いや、完全に気にしてるじゃねぇか。それにビス子、お前自分から日本の習慣に馴染もうとしてドイツっぽさ捨てたんだからそこは傷付いちゃダメだろ。
「全く……騒がしいな、毎晩」
ん?騒がしいのは嫌いか?長門。
「いや、寂しいという感情とは無縁なここは居心地がいいよ」
そう感慨深そうにぼそりと呟いて、ジョッキを傾ける長門。その表情はどこか儚げで、いつもの武人然とした表情とも、駆逐艦を眺めているだらしない表情とも違う『オンナの色気』を含んでいた。
「そうだ、いつもの『アレ』を貰えるか?ビールを飲む時にいつも頼んでいる奴だ」
あいよ。少し待ってな、と返して俺は手早く準備をする。豚のロース肉の塊から1枚厚めに切り出すと、そこに塩・胡椒で下味を付ける。それを小麦粉、卵、パン粉に潜らせて温まっていた油の中にドボン。ジュワアアァァァ……という揚げ物独特のあの音が響き、時間の経過と共に香ばしい匂いが店内に漂う。それと同時にぎゃあぎゃあと五月蝿かった連中も黙り込むんだから、現金な物だ。豚カツを揚げている間にキャベツを刻む。やっぱり豚カツの付け合わせは千切りキャベツだろ。
豚カツが揚がったらしっかりと油を切り、適度な大きさにザクザクと切る。千切りキャベツをふんわりと盛り、カツを乗せる。普通ならここにレモンでも添えて完成だが、長門の
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