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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
それからあたしは、傭兵を知る
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の俺達の"生き方"だからな。」
「…。」
「最低のクズ野郎って思っただろ?今なら取材をやめて図書館に逃げ帰ってもかまわないぞ。」

いや、それは違う。

「人を殺すってのはよくないと思う。けどあたしはそれが完全に悪だって決めつけることはもっと良くないと思う。アンタが誰かを殺すことで、他の誰かが救われることもあるかもしれないから。」
「へー、そうかよ。」

人を殺すことは確かにいけないこと。
だが、それで救われる命もどこかにある。
これから行う依頼もまさにそうだ。
テイマーという動画配信者を殺すことで、救われる命はきっとある。

「なかなか面白い意見が聞けたよ。悪い人殺しもあれば良い人殺しもある。自己満足の偽善者が言いそうなくさい台詞だが、気に入ったよ。」
「しない善よりする偽善。自己満足でも満足するならそれでいい。あたしのおばあちゃんはそう言ってました。」
「すごいばあちゃんだな。ま、俺のばあちゃんはもっとやべぇけど。」

そういい、尾頭さんは車を停めた。
前を見れば立ち入り禁止のプレートが何枚もぶら下げられたフェンスが行く手を阻んでいる。
ということは

「着いたぞ。それじゃあお仕事開始だ。」

散弾銃を担ぎ、装甲車から出ていく尾頭さん。
彼の後に続き、イリヤちゃん、酒呑童子と出ていく。
そしてダ・ヴィンチちゃんは

「私はここで車の見張りをしてるよ。何かあったら無線で伝えるからね。」

そういい、装甲車にて待機。

「葵様。」

そうして、あたしも装甲車から飛び降りようとした時、香子が心配そうな面持ちで話しかけてくる。

「どうしたの?」
「いえ、先程の会話、ピリピリと緊迫した空気だったので。」
「…そう?」

マスター同士の会話。
その間には独特な空気が流れていていつ弾けるか、香子とイリヤちゃんは別の席でそわそわしていたことを聞かされた。

「問題ないよ。あの人は色々と最低な人かもしれない。けど"悪人"ではないと思うんだ。」

先に装甲車から降り、後から続けて降りる香子に手を伸ばし、リードする。

「ほら、お手をどうぞ。」
「ありがとうございます。」

装甲車から降りると目の前に広がるのは廃工場。
かなり大きく、場所によっては蒸気やら煙が吹き出し、どうやら稼働しているようだ。

「ここにテイマーが?」
「ああ、間違いない。動画に映ってた場所まんまだ。」

散弾銃をコッキングし、尾頭さんはいくつもの南京錠がかけられた入口らしきところめがけ発砲。
改造したものなのだろうか、威力はすさまじく鍵どころか入口ごと消し飛んだ。

「さぁ行くぞお前ら。人気配信者気取りの異状性癖者を狩りにな。」

そうしてあたし達は、傭兵の仕事を目の当たりにする。
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