疾走編
第三十二話 それぞれの任務
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の尾行をつける理由を聞かせてもらおうか」
「かしこまりました」
ボルテックが執務室を出ていく。素直なのか、様子見か。まあいい、ペアを組んだばかりなのだ、互いを理解する時間はたっぷりある。お前が私を失望させない限りはな。
5月23日17:40 フェザーン中央区20番街 レストラン「アルファ・ケンタウリ」
ヤマト・ウィンチェスター
尾行なんだから当然なんだけど、しつこいな。まさか店の中まで着いてくるなんて…。
しかしエリカもエリカでいきなりこんな高級そうなレストランに入らなくても…。
『フェザーン・トゥリスムス・フュールング482』によると、俺達の入ったレストランはフェザーンでも十指に入る高級レストランなんだそうだ。
「支払いが心配ですか?」
「根が貧乏性だからね」
「ここはうちの親戚が出しているお店なんです。パパにフェザーンに行く事になった、って話したら、ここに連絡してくれて」
「え!…すごいな」
「だから、お代はタダですよ」
あれはどう見てもウェイター、ではないな。支配人か?店長か?とにかく偉そうな人がやって来る。…この場は全部エリカに任せた方が良さそうだ。
「お久しぶりです、叔父さま」
「久しぶりだね。しかし大きくなったなあ、そして、とても綺麗になったね」
「いやだ叔父さまったら」
しかしあの尾行も大変だな、この店じゃコーヒーで粘るなんて無理だろうからな、経費で落ちるんだろうか?
「本当だよ。十年ぶりだからね、見違えたよ。こちらの方は?」
「エヘ。婚約者ですわ」
「はじめまして。自由惑星同盟軍大尉、ヤマト・ウィンチェスターです」
「なんとまあ、エリカに婚約者とは…同盟軍に入隊したとは聞いていたが…。テオドール・キンスキーです。テオドールと呼んでもらって結構ですよ。よろしく、大尉」
「職業柄、こういう場所は慣れておりませんが、よろしくお願いします」
「ハハハ、うちはただの家庭料理の店だよ。大尉は…フェザーンは初めて、だろうね」
「そうですね、駐在武官以外の現役軍人のフェザーン渡航は許可制でして。しかもその許可が中々下りないのです。今回のフェザーン滞在も任務なのです」
「仕事で婚約者と旅行?いやはや羨ましい限りだ。エリカの父は私の兄でしてね、私からも祝福を」
そう言ってテオドールおじさんはウェイターに目配せした。
「本当なら二人の結婚式で飲んで欲しいんだがね。だけど二人は軍人だ、任務によっては結婚式なんて出来ないかもしれない。それで飲めないなんて事があったら困るから、今飲んでもらおう。エリカは幾つになった?」
「十九歳ですわ」
「そうだよな。ほら、オーディンの四百六十三年もの…同盟風に言うと七百七十二年ものだ。おめでとう、エリ
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