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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
疾走編
第三十二話 それぞれの任務
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“リンツ、リンツ。こちらクリューネカー”
“クリューネカー、リンツ。どうした”
“ロビーに上がって来る男女のペア、確認できますか”
”…確認した”
“口元を隠しながら回りの様子を伺ってます。我々とご同業の様です”
”ブルームハルト、ブルームハルト、デア・デッケン“
“デッケン、デッケン、ブルームでいい。どうした”
”ブルーム、デッケン、売店脇のシートで新聞を広げている男、ロビーに上がって来た男女ペアと視線が合いました、頷いてます“

「近い様だな」
「ヤー」
「そうだ、お前は返事だけにしておけ」
マイクの表情が固い。珍しく緊張しているな。
「気を楽にしろマイク。小声なら同盟語で構わん」
「す、スパイ映画みたいですね」
「…気を引き締めろ」



5月23日12:30 フェザーン星系 フェザーン フェザーン中央区15番街 
エリカ・キンスキー

 「大尉…じゃなかった…ヤマト、これ良くない?」
「ああ、いいね。エリカの服のセンス、俺好きだな」
「…ありがとう!」
「有り難がる事でもないさ、今度は俺のも選んでよ」
「うん!」
大尉はとても優しい。でも、マイクさん達に作戦の内容を説明していた時は全然違った。口調は変わらないけど、優しくない、というか、感情が見えないというか…今の大尉とどっちが本当の大尉なんだろう…。
「…エリカ?どうしたの?」
「あ…ごめんなさい、ちょっとボーッとしてました」
「大丈夫?熱でもあるのかな」
「え!ちょっ…」
大尉のおでこが私のおでこにくっついてる!
「ひ、人前ですよ…」
「いいじゃないか。熱計ってるだけなんだから」
余計に熱出そう…。



5月23日12:30 フェザーン中央区15番街 ヤマト・ウィンチェスター

 おでこを外してエリカを抱きしめる。ごめんエリカ、これが自然に周りを見渡せるんだ。
後をつけられている、と感じたのはやはり気のせいじゃなかった。しかし、誰なんだ?見えただけで二人。
もっと他にもいるんだろう。どこなんだ?
「ヤマト…みんな見てますよ?」
「いいじゃないか、せっかくフェザーンまで来てるんだし、誰か知り合いがいる訳でもないんだ。楽しむのが任務なんだから、少し羽目を外したくてね。ダメかい?」
「…ううん、任務を続けましょ!」
考えられるのは…味方である筈の同盟の高等弁務官府だ。俺の任務は一応後方勤務本部の福利厚生のパターン採取という事になっているから、なんも後ろめたい事はないんだが、帝国潜入の件がどこでどう話が漏れてるか分からないからなあ…。それともフェザーンの自治領主府か?あいつらに睨まれるような事はまだしてないと思うけどなあ。まあ、この状況じゃ探りたくても探れない。アイゼンヘルツの皆は大丈夫だろうか…。


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