第百七十一話 見破った伏兵その十二
[8]前話 [2]次話
「甲府城に向かうぞ」
「わかりました」
「ではその様にしましょう」
「これからも」
「そうしましょう」
「その様にな、あと信濃からの道だが」
兵糧や武具を運ぶそれはというのだ。
「くれぐれもな」
「脅かされない様にですね」
「守りを固めてですね」
「そうしてですね」
「そしてだ」
英雄は朝日を見つつ周りに話した。
「無事に兵を進める様にする」
「荷馬隊にも兵をつけています」
「それもかなりの軍勢を」
「そうして行き来させていますので」
「そのことはご安心を」
「ではな。若し兵糧や武具がないとな」
その場合はというと。
「それこそだ」
「戦えないですね」
「そして退くしかないですね」
「そうするしかなくなりますね」
「だからだ」
それ故にというのだ。
「荷馬隊はだ」
「守りを固める」
「そうしていきますね」
「敵に備えて」
「そのうえで甲斐に進む、それとだ」
英雄はさらに言った。
「道の左右の城はな」
「攻め落としていきますね」
「山の城は」
「順次」
「降る様に言ってだ」
このことはこれまで通りだった。
「そしてだ」
「降ればいい」
「その場合は攻めない」
「そうしますね」
「既に甲斐の中央道の左右の城達は降ってだ」
そうしてというのだ。
「我々のものになってだ」
「道を通る荷馬隊の守りにもなっていますね」
「そうなっていますね」
「有り難いことに」
「そうなっているがな」
それでもというのだ。
「念には念を入れてな」
「荷馬隊には兵をつけ」
「そして守りますね」
「そうして行き来させますね」
「そうしていく、そして甲府城をだ」
この城をというのだ。
「囲む様にするぞ」
「わかりました」
「それではです」
「その様に進めていきましょう」
周りも英雄のその言葉に頷いた、そうして英雄は戦に勝っても今は敵を追わずそのうえで普通に進んでいった。それが今の彼の戦略だった。
その戦略に従い遂に甲府城を見た、すると英雄はすぐに言った。
「ではすぐにだ」
「城を囲む」
「そうしますね」
「まずはな」
こう言ってだった、英雄は兵をさらに進ませた。だがこの時も彼は兵を急がせなかった、周りを慎重に見ていた。
第百七十一話 完
2020・7・23
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ