第百七十一話 見破った伏兵その九
[8]前話 [2]次話
「むしろな」
「成程、策を仕掛けさせない」
「それもいいっちゃな」
「そうだな」
「確かに。それならっちゃな」
「敵の軍勢が来れば普通に破り」
そしてというのだ。
「そのうえでだ。
「後はっちゃな」
「その様に動く」
「わかったっちゃ」
愛実は英雄の言葉に頷いた、そうしてだった。
英雄は十二万の軍勢を率いてそのうえで前から来た甲斐の軍勢七千と対した。英雄は敵の軍勢と対するとすぐに砲撃と銃撃を命じた。
その圧倒的な数の銃撃と砲撃を受けてすぐにだった。
甲斐の軍勢は退きだした、英雄はその彼等を見て兵達に言った。
「いいな」
「追わない」
「敢えてですな」
「そうしますな」
「列を整えてだ」
進軍のそれにというのだ。
「そうしてな」
「あらためてですね」
「進軍を行う」
「そうしますか」
「そうするのだ」
こう指示を出したのだった。
「いいな」
「はい、それではです」
「その様にします」
「それでは」
兵達も応えてだった。
一兵も敵を追うことはなかった、英雄は隊列を整えさせると何もなかったかの様に進軍を再開させた。そうして。
夜は守りを固めた、そしてだった。
英雄は夜に陣を見回りつつ将帥達に問うた。
「十重二十重にだな」
「守りを固めています」
「陣のそれを」
「見張りの兵もしかと置き」
「警戒しています」
「ならいい、間違いなくだ」
英雄は自分に話した将帥達に述べた。
「敵は狙っている」
「奇襲をですね」
「それを」
「左様ですね」
「若し敵を急いで追ってだ」
そうしてどいうのだ。
「そして夜に動いていれば」
「その時はですね」
「襲われていましたね」
「確実に」
「それが釣り野伏せだ」
この戦い方だというのだ。
「それはお前達も知っているな」
「一戦しあえて退く」
「そして追ってきた敵を伏兵で横や後ろから一気に襲う」
「そして退いた敵も反転し襲って来る」
「囲み一気に倒すやり方です」
「それで来られると大軍でもだ」
それでもというのだ。
「そして装備が優れていてもな」
「破れますね」
「横や後ろから奇襲され」
「そして前からも攻められ」
「囲まれて」
「勝ったと思えばだ」
その瞬間にというのだ。
「逆にだ」
「負けますね」
「それも完膚なきにまで」
「そうなりますね」
「これで大将首も取られる」
事実九州の戦国大名肥前の熊と言われた竜造寺孝信は島津家との戦で首を取られている、沖田畷の戦である。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ