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8月
第93話『到着、一悶着』
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、夢渡石はそれを可能にしちまう。だから破格の値段にして、下手な輩に手を出させないようにしていた」


マーさんは口調も表情もそのままに語り始めた。
確かに、そう言われると値段の件は納得してしまう。


「別に黒雷のボウズが買ったことを詰ってる訳じゃねぇ。こいつなら信用できると思って俺は売ったんだからな。──だがまぁ、異世界から人を連れて来るたぁ、大層なことをしてくれたもんだな」


マーさんの圧が一層増す。何も言い返すことはできない。
結月は元は異世界の人間。それをこちらの世界に連れて来たとなると、"不干渉の鉄則"を破ったことになる。その影響は晴登には計り知れないが、もしかしたらヤバいことになるのかもしれない。

それもこれも全ての責任は──


「ごめんなさい、全部俺のせいなんです。あの石で異世界に渡ったのも、結月を連れて来てしまったのも俺の責任です」

「……」


これ以上、終夜に責任を負わされるのを見過ごせず、晴登は前に出て、頭を下げて謝罪した。マーさんはその姿をじっと見つめている。

……こんな時がいつかは来るんじゃないかと思っていた。
今まで誰にも指摘されなかったけど、晴登の心はずっとモヤついていたのだ。結月をこちらの世界に連れて来てしまった時、初めに異世界に帰そうとしたのも、この世界に留まらせてはいけないと思ったからなのである。
とはいえ、結月自身がここに残ると決めた時から、晴登だって覚悟はしていた。


「この責任は、必ず取ります」

「……そりゃ、お前さんが一生その娘の面倒を見るってことか?」

「……はい、そうです」


一生、と言われて少しだけ躊躇ったが、それでも晴登の覚悟は揺るがない。一生だろうと何だろうと、結月の存在を否定させないためなら何だってやってやる。


すると、その晴登の決死の言葉を聞いたマーさんは──ニカッと笑った。


「はっはっは! こいつは傑作だ! ちょっと脅してやるつもりが、まさかプロポーズを聞けるなんてな!」

「えぇっ!?」


マーさんは腹を抱えて大笑いする。その急な手の平返しに、晴登は唖然とするしかない。


「冗談……なんですか?」

「いいや、全部が冗談って訳じゃねぇ。異世界に干渉したことは良いこととは言えねぇからな。けど、だからといって何か罰則がある訳でもねぇんだ。そんなに怯える必要はねぇよ。むしろ、異世界人を見ることができて俺は嬉しいくらいだ」


両手を広げて、喜びを表現するマーさん。
さっきまでの威圧が嘘のようだ。


「しかも見たところ、かなりの実力者じゃないのか? 例えば──レベル5とか」

「っ!」


そのマーさんの言葉に、この場にいた全員が息を飲んだ。まさか、
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