8月
第93話『到着、一悶着』
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うそう。あたしが入学した高校で、偶然魔術師がいてね〜。流れでチーム組んで出場することになったの」
終夜と緋翼の問いに、月はあっさりと答えていく。しかし、内容は全くあっさりしていない。
言い方的には、彼女の行った高校に魔術部の様な部活があった訳ではなく、ただ魔術師が見つかったというようなニュアンスだ。だが、そんな簡単にいるものだろうか。魔術師とは。
「……ん? ちょっと待ってください。てことは、もしかして櫻井先輩もいるんじゃ……?!」
「終夜ビンゴ。あの子も同じチームで参加するよ。今はいないけど、後で会いに行かせるね。それじゃ、頑張って〜」
月はそう言って、手を振りながら去っていった。とても快活な人だったな。
にしても、終夜が口にした「櫻井先輩」という人も気になる。たぶんその人も魔術部に所属していたのだろう。でもって、月と同じ高校に入学しているといったところか。
2人とも、一体どんな魔術を使うんだろう……!
「くぅ〜まさか先輩に会えるなんてなぁ〜!」
「でも喜んでばっかりはいられないわよ黒木。あの人たちは……今年は敵なんだから」
「わかってるよ。成長した俺らの力を見せてやろうぜ。いいな1年共!」
「「は、はい!」」
終夜に突然振られ、慌てて大きな声で返事をした。
終夜も緋翼もいつになくやる気に満ちている。先輩が相手だとそうなってしまうものなのかな。例えば来年はこの2人が相手に……
「それはちょっと勘弁かなぁ……」
想像して、晴登は身震いするのだった。
*
今日の日程は、今から1時間後に開会式を行なった後、さらに1時間後から予選が4つ一気に行なわれる。なんでも、この会場以外にも会場がいくつかあり、そこで予選を実施するそうだ。山の中という地の利を最大限利用している。
「ということで、まだ時間が余ってる訳だが」
「それなら、皆でこの屋台を回りましょうよ!」
「それはいいけど、この人数だとさすがに多いな……よし、お前ら2年だけ別行動な」
「うわ〜バッサリ切り捨てたよこの人」
終夜に対して北上がそう提案したが、なんとも言えない条件付きで承諾される。
2年生たちは不服そうな顔をしていたが、屋台を回れることには変わりないので、すぐに切り替えて散策を始めるのだった。
「よし、それじゃ行くか」
「えぇ……」
何事もなかったかのように話を進める終夜に、思わず嘆息してしまう。
全く、カッコイイ時とダメな時の差が如実に表れるんだから、この人は。
*
「よう、黒雷のボウズ、今年も来たのか」
開会式までに正午を跨ぐので、適当に屋台で昼食を済ませつ
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