間章2 解放軍の光と影
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クリートの廊下には左右に巨大な檻があり、中にはショッカーの購入した奴隷達が何十人も入れられていた。
「出して!!何でもするから!!」
「俺達を解放してくれるんじゃなかったのか!?!?」
「この悪魔!さっさと俺を出しやがれ!!」
うるさく喚く奴隷達を戦闘員達や怪人が檻の中に入り、殴りつけて黙らせる。
「諦めな。お前らは購入した奴隷の中でもショッカーにとって『無能』な人的資源と判断されたんだ。無価値な奴隷は我が世界の科学の発展に寄与できることを喜ぶんだな」
ショッカーは連合諸王国軍や帝国軍の捕虜達を『利用価値の有無』で分けたように購入した奴隷を『優秀』、『無能』という基準で選別していた。
『優秀』と判断された奴隷は地上で再教育を受け、『無能』と判断されたものが地下でモルモットになる……非常に明快かつ残酷な論理だった。
この奴隷購入作戦の利点は帝国の主要な労働力となっている奴隷を合法的に奪える上、優秀な人的資源とモルモットも手に入れられることである。ショッカーにとって一石二鳥どころか一石三鳥の素晴らしい作戦であった。
さらに、この研究所ではオ・ンドゥルゴ基地の広大な土地を活かして、地下に科学者一人一人に実験室を設けていた。そうすることで様々な専門分野の実験を一気に、より効率的に行うことができるからだ。
「♪〜?〜?〜」
とある実験室ではサングラスを掛け、返り血で血まみれの白衣を着た初老の白人男性がワーグナーのクラシック音楽をレコードでかけながら踊るように手術台の上にいるモルモットにメスを走らせていた。
薄暗い室内にはホルマリン漬けにされた臓器や腕。さらに人一人ほどの大きさのガラス管が何個も置かれ、中には標本と化したエルフやキャットピープルなどの異世界異種族が謎の液体に満たされて入っていた。
「うーん、分からん。どうしてなんだ?」
男は解剖を終え、手術台の上に寝転がる人間"だった"肉の塊を前にして頭を悩ませていた。
「なぜだ?なぜなんだ?肉体の構造や細胞はこちらの世界の人類と変わらんのになぜ、魔法なんて大逸れたものが使えるんだ?」
元ナチスの老科学者であり、悪名高きアウシュヴィッツ収容所でヨーゼフメンゲレと共に人体実験の限りを尽くしたショッカーの狂科学者、ハインリッヒ博士は困ったように呟いた。
ここまで来れば誰もが分かるように、ショッカー オ・ンドゥルゴ基地には2つの顔がある。1つは帝国の支配から異世界を解放する解放軍の拠点という表の顔。もう1つは異世界征服のため、占領民や千堂ら表で活動する人間が知らないところで人体実験や暗殺などの非人道的行為を行う裏の顔。
光が強まる程、影もまた強
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