間章2 解放軍の光と影
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イタリカ
この街からオ・ンドゥルゴに至る一帯は現在、ショッカーの占領下に置かれている。
圧倒的な戦力で盗賊を撃退し、イタリカを救った異形の軍勢に占領されたことで彼らの技術力、軍事力をまざまざと見せつけられ、今になって帝国がどんな相手と戦争しているのかをイタリカ市民は実感させられていた。
占領直後はショッカーの改造人間や獣人の姿を見て恐れおののき、「奴隷にされるのではないか」という噂が独り歩きしたことで市民達の混乱が起きたが数日も経てば市民生活は平穏を取り戻した。
占領民達からすれば信じられないことにショッカーの世界には奴隷制度が存在しないらしく、またありとあらゆる種族がショッカーの前では公平なのだという。
またショッカーが強制しているものがあるとすれば『帝国国旗の掲揚禁止』と『公共の場でのショッカー式敬礼の義務化』ぐらいなものであり、どれもこの世界の占領政策の常識からすれば比較的、楽で意味不明なものばかりであった。
イタリカの市民の殆どはフォルマル家に忠誠を誓う者ばかりで帝国に対して愛国心を一切、抱いていなかった。そのため国旗の掲揚の禁止など全然、気にならなかったし、ショッカー式敬礼も最初こそどこか恥ずかしさがあったが数日間も続けると何とも言えない不思議な団結感が生まれ、ショッカーの一員としていることに誇りを持つようになった。
そんなある日―。
黒人系と白人系の2人組の軍人がイタリカに入城し、街並みを眺めていた。
街の目利き通りに目を移せばショッカーの軍人や戦闘員が闊歩し、市民は日常の生活を続ける。
「ここがイタリカか…」
「どことなくゲルマニアエリアのミュンヘンやドレスデンに雰囲気が似てるな」
「それでも中世レベルの都市と現代都市じゃ大違いだけどな」
占領直前の盗賊の出現による社会的混乱と物資不足の状態は改善されていた。
イタリカを始めとした占領地では現在、定期的にオ・ンドゥルゴ基地から往来するトラックに物資によりインフラ整備が着々と進められ、かつてないほどの繁栄を迎えている。街頭が整備されたことで往来する軍の車両も増え、それに子供が群がって飴などの菓子をねだる光景も見られるようになった。
また、財団Xやノバショッカーなどの企業では占領地の若者を中心に職業研修を行っており、ゆくゆくは占領地の人民を低コストで雇うことを検討しているという。
勿論、ショッカーもこれらの支援を可愛そうだからとか人情だとかで行っているわけではない。曲がりなりにも元『世界征服を狙う悪の秘密結社』である。
イタリカを対帝国の為の工作拠点にする為というのもあるが、インフラ整備などの都市開発や医療支援は占領に不満を持った市民が団結し、レジスタンス化されるのを警戒して
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