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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
胸弾むアタシは、名前をもらう
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らいの方が好みだけどな。それに体つきからして運動してたろ。ってことは"締まり"がイイ。」

下品なギャグに一同はガハハと大笑いする。
汚い、不潔。宮本のようないい人だっているのに、どうして男はこんなのばかりなんだろう。
だから男は嫌いなんだ。

「やれるもんなら…やってみろよ。」

香子の援護はない。
相手は完全武装。
絶望的な状況だけどやるしかない。
だってやらなきゃ、図書館も香子も、あたしのあらゆるもの全てが奪われるのだから。

「…あおいさま。」
「…え?」

羽交い締めにされている香子があたしの名前を呟く。
振り返って見てみれば、彼女の顔には焦りのあの字もなく、ただいつも通りの表情だった。
何か…秘策でもあるのだろうか。

「いえ…呼び方を間違えましたね。後はお願いします…"(すみれ)様"」

すみれ
その名前を呼ばれた瞬間、世界がぐらりと暗転する。
これは…なんだ?

「なにが…おこ」

何かが這い上がってくる。
何かが拘束を引きちぎり、咆哮を上げる。
何かが笑っている。何かが…来る!

「ふ…ふふ…はははははは…っ。」

自然と口から笑いが零れる。
あたしの身体のはずなのに…何故か他人のものに感じられる。

「香子に頼まれちゃったから…"アタシ"に変わるよ。いいね、あたし?」

こいつは…
香子が封印したって言ってたあいつ…!?
でもどうして?なんで?
そう簡単には出て来れないって、香子は言っていたのに

?

いつかの日の夜。
図書館の業務を終え、いつものように暑く激しい夜を過ごした葵が眠りに着いた頃。

「…。」

紫式部はそっと起き上がり、ベッドから離れると傍にあった椅子に腰掛けた。

「…。」
「聞こえていますね?葵様。」

すぅすぅと寝息を立てる葵にそう問う紫式部。
当然、熟睡しているため返事もしないし起きもしない。
しかし、彼女が呼んだのは葵であって葵ではない。

【…なに?】

その時、葵の前に文字が表示される。
泰山解説祭だ。

「あなたとお話したく…そして頼みたいことがあります」
【そんなの知らない。聞いて欲しかったらアタシをここから出してよ。】

泰山解説祭とは対象の心情を文章化して現すもの。
だがこうして記されているのは、まるで誰かが話しているかのような文章だった。
これはそう、源葵が持つ裏人格、もうひとつの葵のものだ。
心にいるならば泰山解説祭で一応話すことは可能なのではないか、
紫式部はふとそう思い試したのだ。

「申し訳ありませんが…そこから出す訳にはいきません。」
【じゃあきかない。】
「…。」

裏の葵に頼みたいことがある。
そもそもそれがあるから紫式
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