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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
胸弾むアタシは、名前をもらう
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それは1週間前の話…

「図書館の全面サポート…ですか?」
「はい、その通りです。」

ある日のこと、
この葵紫図書館に1名の来館者が訪れた。

「我々『葛城財団』がこちらの図書館を全力でサポートいたします。維持費や光熱費、はたまた本の保存や新たな寄贈など惜しみなくさせていただきますよ!」

と、元気はつらつに答える真っ白な制服に身を包んだこの男。
彼は葛城財団という組織に属しており、こうして各方面に惜しみない資金援助をしているのだという。
だが、それには条件があり…

「かお…紫式部をそちらに…?」
「はい、そちらのサーヴァントを二、三日程財団本部であずかりたいのです。」

香子を財団本部で一旦あずかるというのだ。

「どうしてです?」
「この世界の現状はご存知でしょう?」
「ええ、まぁ…。」
「崩壊した世界、ここまで持ち直すことができたのはサーヴァントという存在のおかげ。そう、つまり今世界が必要としているのはサーヴァントの力なのです!」

確かに、最近だと東京などの都市部はほぼ完全に復興していると言われている。
それも皆、サーヴァントがあってこそだ。
確かにサーヴァントがいなければここまで復興するにもきっと二、三倍の月日と労力がかかっていただろうし、何よりあたし自身もこの世にいなかっただろう。

「代表のお考えではサーヴァントを1箇所に集め、そして全員の力を使って世界をかつての姿に戻すこと!つまりあなたのサーヴァントもまた、世界を救えるメンバーの一員になれるのです!」
「…。」

熱意に押されかけるが、あたしは

「申し訳ないけどさ…無理。」
「…は?」

断る。
何故香子をあずける必要がある?
あたしのサーヴァントだ。他の誰にも渡さない。
更にわがままを言うならば彼女とは1日も、1時間たりとも離れていたくはないからだ。

「他をあたってよ。図書館の営業で精一杯だからさ。」
「そうですか…では」

彼は諦めてくれると思ってた。
けど

「では資金援助の額を増やしましょう。それとサーヴァントがいない間、あなたを手伝ってくれる派遣社員も倍に!」

そう簡単には引き下がってはくれない。
机の上にはさらに別の書類が広がり、そしてとんでもない額が表示された電卓が突きつけられる。
上からなんて言われてるかは知らない。
けど、そんな強気で来られても

「無理なものは無理。帰って。」

あたしの意思は、変わらない。

「何故です!?どこが気に入らないんですか!?」
「この際ハッキリ言うよ。全部何もかもが怪しい。」
「怪しいと言われましても…私達はあくまで慈善団体でして…。」
「聞こえなかった?あたしの紫式部はアンタ達みたいな得体の知れない組織には預け
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