暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第49話:奏にとっての颯人
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また明日、奏」

 互いに自分の部屋に入る2人。既にすっかり日も暮れて暗くなった玄関に入った奏は、灯りをつけると遊び疲れた筋肉を解すように伸びをしながらリビングに入り電気をつける。

「ん〜〜……ん?」

 明るくなったリビングでさぁ今日の夕飯はどうしようかと考えた奏の目に、テーブルの上に置かれた1通の手紙が映った。宛名も差出人も書かれていない。一言で言えば怪しい手紙だ。

 しかし奏はこういう事をする奴を一人知っている。雰囲気づくりや場を盛り上げる為なら、どんなことでもやる男だ。これも大方彼──颯人が何か考えついて行動を起こした結果だろう。

「全く、颯人の奴……人の誘いを断っておいて、何だ?」

 ぶつくさ文句を言いながら、奏は手紙を手に取るとそれを躊躇無く開く。そこにはシンプルに、こう書かれていた。

『下で待ってるぜ』

 理由も目的も何も無く、ただ一方的に待っているとだけ書かれた手紙。場合によってはホラーな話だが、相手が颯人であると分かっていれば怖い事は何もない。

 それに、奏は少し期待していた。この感じ、颯人はきっと何かをやろうとしている。それもとびっきりの何かをだ。

 期待に胸を膨らませ、しかしそれを表に出さないようにしながら奏は再び部屋を出てマンションから出た。
 果たしてそこには、帰ってきた時には影も形も無かった颯人がマシンウィンガーに寄りかかりながら奏の事を待っていた。

「よぉ、待ってたぜ」

 颯人は奏の姿を見つけると、手を振って彼女を出迎えた。奏はそれに軽く手を上げて応える。

「んで? こんな時間に人を呼びつけて、一体何の用だ?」

 そう問い掛けると、颯人は勿体ぶった様に笑いこう答えた。

「ふっふっふっ…………夜のデートのお誘いさ」
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