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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第49話:奏にとっての颯人
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たね。颯人さん、用事があって来られないなんて」

 そう、颯人がこの場に居ないのは遅刻したからとか言う訳ではなく、最初から彼は不参加だったのだ。先日、響が今日の遊び歩きを提案した時、その場に居た颯人にも当然声はかけられた。
 だが彼はその誘いをやんわりと断った。

 曰く、『その日はちょっとやらなければならない用事があるから行けない』だそうだ。

 その時の事を思い出してか今度は奏が機嫌を悪くし、この場に居ない颯人に悪態を吐いた。

「全く、颯人の奴! 折角荷物持ちとしてこき使ってやろうと思ってたのにッ!」

 そう言って奏は心底残念そうに足元に落ちていた小石を蹴っ飛ばす。

 一気に不機嫌になった奏を、響と未来は慌てて宥めた。

「き、きっと本当に何か外せない用事が出来ちゃったんですよ! 私も最近そうでしたもん!」
「そうですよ。来れなかったなら来れなかったで、後でどれだけ楽しんだかを自慢しちゃえばいいじゃないですか」

 響の言葉に落ち着きを取り戻し、未来の言葉に奏は自慢話を聞かされる颯人の様を想像し機嫌を良くした。

「ん〜……未来の言う通りか。来ない奴の事を考えてても仕方がない。思いっきり楽しんで、後で颯人を悔しがらせてやる!」

 気持ちを切り替え、拳を握り締め今日の遊び歩きを思いっきり満喫する事を決める奏に、響と未来はほっと胸を撫で下ろした。

 しかし表に出さないだけで、奏は颯人がこの場に居ない事を未だに残念に思っているのだった。




***




 その後、奏はとにかく響達との遊び歩きを楽しんだ。

 雑貨屋ではウィンドウショッピングと洒落込み、キャラクターグッズなどを見て回った。

 ゲームセンターでは、なかなか取れないクレーンゲームに響がムキになり騒ぐのを全員で宥めた。

 映画館では恋愛映画を全員で観た。選んだのは恋愛映画。内容は特に捻ったものも無く、王道を往くストーリー。奏はまぁまぁ楽しめた程度の感覚だったが、他3人はそうではなかったらしい。クライマックスでは3人とも涙を流しながら映画のストーリーに没頭していた。

 映画が終わった後、適当なベンチで感想談義に花を咲かせていた。

「いや〜、途中どうなるか冷や冷やしたけど最後は綺麗に纏まって良かったね!」
「本当にね。色々大変そうだけど、ああいう恋愛って憧れるよね」

 響と未来が純粋に映画の総評で盛り上がる横で、翼は先程の映画のクライマックスでただ1人泣く事の無かった奏に声を掛けた。

「奏は? さっきのどうだった?」
「ん? 別に悪くはなかったと思うよ」
「その割には反応が淡泊に見えるんだけど?」
「え?」

 ジッと奏の顔を見つめる翼。奏はそこまで真剣に見つめられると
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