出会い
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、らしい女の人は時々しか感じないらしく、お父さん、らしい男の人と元気な子ねって楽しげに話してる。
そうだね。このジタバタを常に感じてたらお腹が痛くなるよね。
ちょっとは自重しようかな。
流石にお母さん、を苦しませるのは本意じゃないし。
「(でも悔しいぃぃぃいい。遊ぼうよぉぉぉぉおお)」
声にならない声で、気配に向かってこれ以上ない程念じてみる。
最後。そう、これで最後。
でも、駄目だったら諦めようとかそんな事は何も思わなかった。
最後になる指先を伸ばし、気配に向かって腕を動かす。頭を撫でられるように。可愛い可愛いって頭を撫でて、ギュッと抱きしめられるように。
私の中では、この小さな気配は私が守るべき対象になってた。
どうしてこんなふうに思ったのか。
それは自分でもわからないんだけど。
まだ生まれてもないのにね、とちょっと笑っちゃった。
んー、と体力の許す限り手を伸ばしてたんだけど、やっぱり胎児の体力。あっさりと限界が訪れ、蹲るようにして背を丸めてしまう。
そしてうつらうつらと意識が混濁してくる。もう起きてられない。
「(うぅー…私の弟妹…おやすみー…)」
それでも、意識が飲み込まれる寸前に、私は小さな気配に向かって微笑みかけた。
《ランセイ…?》
と思ったら覚醒した。
だって、小さな子が名前を呼んでくれたんだよ!
私の名前予定を。
「(うんうんうん。これから貰う名前だけど、ランセイになると思う! はじめまして……えっと…)」
小さな子の名前がわからない私は、ここで言葉に詰まった。
あれだけ追いかけていたのに、名前すらわからないなんてと衝撃を受ける私に、小さな子は多分だけど、私の横にちょこん、と座ってくれた。
《天禍。天の禍だ》
「(天禍…? ワザワイ? んんんんんー)」
《………》
名前。
天禍の名前。
問題は禍の部分かな。
こんな時目が見えないのは不便なんだなって思ったけど、私は目が見えない代わりに身体を使って天禍を抱きしめた。
うん。暖かい。
「(じゃあ、天華で。天の華。髪の毛はふわふわ。肌はしっとり。テンカは可愛い。私の可愛い弟妹だ)」
テンカの声が沈んでいたような気がして、私なりに動かない脳みそを使いまくったんだけど、テンカからの反応は特になかった。
その途端不安になる心。
《天の華、弟妹か。我は…いや、ランセイ。今日より、我とお主は姉弟だ。その証として、そなたにのみ、我は天華となろう》
なんていうか、多分つっこみ所は色々とあったんだと思う。
けれどこの時の私は、弟妹――どっちかわからないけど、まぁ、いっか――が出来
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