第二百八十五話 色鉛筆その九
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「それで戦争も否定していなかったし」
「第二次世界大戦も」
「親が負けるとわかっていてやる喧嘩に子供がついていかないか」
国家が親で国民が子供だ。
「そう言ったんだ」
「気骨あるわね」
「終戦直後に言ったんだ」
一気にあの戦争は間違っていたと皆が言い出した頃にだ。
「そこから無頼派にもなったしね」
「意外な一面ね」
「色々言われれてる人だけれどね」
いい加減な生き方とも甘ったれていたともだ。
「それでも戦争のことや皇室のことはね」
「しっかりと言ったのね」
「そうだったんだ」
終戦後急に変わった世論や思想に対してだ。
「太宰が否定したのはね」
「そうした風潮だったのね」
「それで権力だったんだ」
あくまでだ。
「権威で」
「そうしたものね」
「太宰は芥川は否定しなかったよ」
それこそ芥川の作品を読んでから死ぬまでだ。
「自殺したって聞いた時も作家はこう死ぬべきだって言ったそうだし」
「自殺した人が言うと説得力あるわね」
「そうだよね」
「何か太宰って」
香織さんはこうも言った。
「芥川を意識した人生だったわね」
「自殺していることからも思うよね」
「何か重なるわよね」
「実際に並び称されてるしね」
この二人だは。
「自殺してるしね」
「作風の変わり方もよね」
「晩年二人共破滅的な作風になってるかな」
それぞれの色は違ってもだ。
「芥川は暗かったり狂気を感じさせるもので太宰は退廃的で」
「それで二人共破滅的なのね」
「何か終わりとか死をね」
自殺のことからの先入観かも知れないけれどだ。
「感じさせる作風になってるから」
「そうなっていて」
「それでね」
僕が思うにだ。
「芥川も太宰も最後の方は死とか終わりを意識させて」
「それでなのね」
「あと二人共顔立ち整ってるよね」
僕はこのことも話した。
「芥川も太宰も」
「そうよね、二人共写真見たら」
「美形だよね」
「そうなのよね、かなりね」
「作家の人も顔立ちは色々だけれど」
それでもだ。
「この二人は美形だね」
「かなりね、志賀直哉や三島由紀夫も美形だけれど」
「二人共ね」
「美形で」
それでだ。
「このことも重なるね」
「美形で破滅的な作風になっていって自殺した」
「そうしたところがね」
「そうね、太宰が芥川をなぞったのかしら」
「芥川を敬愛していて」
「それでかな」
「それはあるかもね」
言われてみればだ。
「とにかく芥川への憧れの強い人だったから」
「もう終生尊敬していた位に」
「だから芥川を意識して」
それでだ。
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