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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
第二百八十五話 色鉛筆その七

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「わかっていてね」
「そこから外れないことね」
「このこともね」
 何があってもだ。
「大事だよ」
「そうなのね」
「そう、それでね」
「それで?」
「若し人の道から外れたら」
 その人は何かというと。
「外道になるよ」
「無頼派じゃなくて」
「無頼派は遊んでいてもね」
 それでもだ。
「犯罪はしないしね」
「人の道も外れないのね」
「ならず者とは違うってね」
「そうなのね」
「親父が言うには傾いているらしいよ」
「ああ、傾奇者ね」
「無頼派はね」
 正しいそれはだ。
「そうなるらしいよ」
「そこが違うのね」
「みたいだね」
 親父が言うにはだ。
「そうみたいだよ」
「義和のお父さんは本当の意味の無頼派なのかしら」
「まあ少なくとも権威や権力にはなびかないね」
 親父曰くそうしたことには関心がないということだ、そして権力といっても色々なところにそれぞれあるとも言っている。
「どうも」
「そうなのね」
「反権力でもないけれど」
 親父が言うには権力と言っても一つじゃなくて勿論国家権力だけが権力じゃないからそう言っている。
「それでもね」
「権威や権力にはなのね」
「興味がなくて」
 それでだ。
「自分は自分でね」
「無頼なのね」
「うん、誰かに媚びたりすることもね」
「ないのね」
「全くね」
「そうした人なのね」
「とはいっても既存のものに反発するとか」
 そうしたこともだ。
「ないんだよ」
「そこは坂口安吾とは違うのね」
「坂口安吾は志賀直哉が嫌いでね」
 それで文章でも書いている。
「これは太宰治もだったけれど」
「確か最後の方で書いていたのよね」
「死ぬ直前にね」
 人間失格と一緒にだ。
「如是我聞って文章でね」
「書いていたのよね」
「志賀直哉の強さを否定して」 
 そうしてだ。
「芥川みたいに弱くなれってね」
「言ってたのね」
「太宰は終生芥川を敬愛していたから」
 だから芥川賞を何としても取りたかったのだ。
「それで最後にもね」
「そう言ったのね」
「芥川みたいに弱くなれって」
「そう言って自殺したのね」
「心中したんだ」
 あまりにも有名なことにだ。
「そうしたんだ」
「愛人の人とね」
「その時二人愛人がいて」
 このことだけでも凄いことだ、一人だけでもかなりだというのに。
「一人が斜陽のモデルの人で」
「もう一人が一緒に心中した人ね」
「その人と心中したけれど」
「その直前になのね」
「そう言ったんだ」
 人間失格を書きながらだ。
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