第五幕その九
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「ご飯の時間決まってないよ」
「いつも食べてるわね、そういえば」
「うん、草原の生きものはね」
バイソンはつぎはぎ娘の言葉に応えました。
「食べられる時間にね」
「いつも食べてるわね」
「それで僕達もね」
「いつも食べてるのね」
「そうなんだ、いつも沢山食べないと」
「満足しないのね」
「元気が出ないんだ」
そうだというのです。
「これがね」
「そうなのね」
「だから今も食べているんだ」
見れば周りのバイソン達は皆草を食べています、その様子はのどかで見ていて微笑ましいまでです。
「こうしてね」
「沢山食べて」
「そう、そして」
そのうえでというのです。
「僕はいつもお腹一杯だよ」
「それで元気があるのね」
「そうだよ、ただね」
「ただ?」
「僕達はここでのどかに暮らしているから」
それっでというのです。
「全力を出すことはね」
「ないのね」
「そう、それでね」
そのうえでというのです。
「全速で走ったり突進とか」
「そうしたことはしないの」
「全くね」
「そこはオズの国ね」
「ここでずっとのどかにご飯を食べて皆と遊んで寝て」
そうして暮らしてというのです。
「不自由していないよ」
「それは何よりね、ただね」
こうも言うつぎはぎ娘でした。
「あんた達を見ていると背中に乗りたくなったわ」
「不意にだね」
「そう、あたしは気まぐれでしょ」
自分から言います。
「それでね」
「僕達の背中になんだ」
「そこに乗ってね」
そうしてというのです。
「楽しみたいけれど」
「それならそうしていいよ」
バイソンはつぎはぎ娘の問いにあっさりと答えました。
「それならね」
「そうなのね」
「ええ、じゃあね」
「これからだね」
「乗ってみるわ、ただね」
「ただ?」
「あんたは小さいわね」
こうそのバイソンに言いました。
「あたしが乗るには」
「重さはともかくだね」
「ちょっとね」
「そうだね、じゃあお父さんかお母さんの背中に乗る?」
「そうさせてもらうわ」
「君達なら丁度いいかな」
バイソンはジョージ達を見て言いました。
「僕に乗るには」
「いいの?乗っても」
「私達がそうしても」
「貴方から言ってきたけれど」
「そうしてもいいんだ」
「僕達が乗っても」
「うん、いいよ」
バイソンの返事は何でもないというものでした。
「別にね」
「君がそう言うなら」
それならとです、ジョージも応えました。
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