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ドリトル先生と琵琶湖の鯰
第五幕その十

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「両方を支えます」
「成程、先生のお考えはしっかりしていますね」
「そうでしょうか」
 先生は首を傾げさせつつ田中さんに応えました。
「僕は」
「はい、世の中文明を否定してです」
 そうしてというのです。
「自分は文明的な暮らしを満喫する」
「そうした人は確かにいますね」
「そうですね、例えば原発反対を唱えますが」
 それでもというのです。
「自分は電気を好き放題使う」
「原発の代わりの電力もですね」
「それを出さずに」 
「原発反対ですね」
「それを言う人もいます」
「原子力の力は凄いです」
 発電でもとです、先生は言いました。
「その供給される電力も」
「確かにそうですね」
「それに代わる電力となると」
「何か、ですね」
「太陽光や風力で賄えるか」
 原子力の代わりにというのです。
「それだけのものか。科学的な検証をしないとです」
「今の生活は出来ないですね」
「電力面では、それをしないで言うなら」
「無責任ですね」
「原発で事故が起こっても」
 それでもというのです。
「その事故の原因をはっきりさせて」
「そしてですか」
「そのうえで、です」
「対策を講じておくべきですね」
「若しそれが人災なら」
 その場合はといいますと。
「その人に責任を取ってもらう」
「そうあるべきですね」
「そうですから」
 それでというのです。
「原発の是非もです」
「あるから駄目なのではなく」
「若し反対ならです」
「今の文明生活を維持したいなら」
「電力は必要ですから」
 どうしてもというのです。
「それならです」
「原子力の代わりの電力の供給源を出す」
「さもなければです」
「今の生活を捨てることですね」
「そうなります、どちらも嫌だというのは」
「出来ないですね」
「若しもです」
 ここで先生は眉を曇らせて言いました。
「自分だけがいい暮らしをしてです」
「他の人にするなということはですね」
「あまりにも自分勝手で卑怯です」
 先生は言い切りました。
「断じてなりません」
「それは、ですね」
「人として」
「その通りですね、ですが」
「それがですか」
「日本には。知識人に多いですが」
 この立場の人達にというのです。
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