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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
閉会〜金帰火来には遠すぎる〜
復興の国〜エル・ファシル共和国にて〜(下)
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何とかしてくれる』『連盟の先生に言えばわかってくれる』と信じられたんだ。いや、勘違いしないでくれ、馬鹿にしているんじゃないよ。それは君が今の議会政治を信じられている、とてもよいことさ」

「だがね、グレッグ。君は私に向かってあんな風に感情をぶつけたじゃないか。ならばそれをハイネセンで【エライ連中】にぶつけてみたくはないか?」
 
「俺、絶対とんでもない馬鹿なことしますよ!何を期待してるのか知りませんが!俺はただ酒を飲んでみんなとワーワー言ってるだけなんです!」

「君の言う【エライ連中】を国民の皆様はみんな雁首揃えてなんて馬鹿な連中がそろってなんて馬鹿な事をやっているんだ!と嘆いているじゃないか!今更君が馬鹿なことをやったって次の瞬間には別の誰かがもっと阿呆なことをやらしてるさ」

「ちょっ!あっあんたがそれを言っちゃダメでしょ!!」
 グレゴリーが目を剥くがホアンはカラカラと笑っている、ひどく痛快な気分になっていた。

「ジョージ・パームを知っているかね?『民主政治とは酒を飲み交わした労働者から夢を聞き出すこと』と彼は言葉を残しているんだ。
君はその政治の在り方を最も理解している人間だ!
ウチの議員はインテリ気取りと活動家根性が抜けない頑固な老人ばかりだ。是非とも若くて気持ちの良い、多くの人の気持ちが――それこそニュースを聞き流しながら酒を飲んで今日の疲れを癒しているような、そんな人たちの視点に立てる人が欲しんだよ。グレゴリー・カーメネフ、私を信じて同盟の国民に【エル・ファシルで暮らしている人々はここにいる】と叫んでくれ!」

「……分かりました。立候補の話、受けさせていただきます!これからホアンさんを盃を交わした親父と呼ばせていただきます!みんな!よろしく頼む!」

「いいぞー!」「えぇっ!グレッグ君が立候補するっていうのかい?」
「グレッグ!グレッグ!」「下院なんて言わず議長でいけ!」
「サンフォードなんかに負けるな!」「グレッグ!頑張れ!」
「グレッグのにいちゃんがハイネセンの分からず屋のケツを蹴っ飛ばすって!ガハハハハッ!!ソイツはいいや!!」

「お、親父かぁ……まぁともかくよろしく頼むよ、グレッグ」
 まだ50代なのよ、という繊細な男心は捨て置くのだ。
「はい!親父!これから世話になります!」
 こうしてホアン・ルイは珍妙な秘書を雇い入れることになった。後にとんでもない男を招き入れてしまった、と頭を抱えることになるのはもう少し先の事である。


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