暁 〜小説投稿サイト〜
同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
閉会〜金帰火来には遠すぎる〜
復興の国〜エル・ファシル共和国にて〜(上)
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と?次の選挙は年明けの――なるほど?」
 ジャムの果肉をゆっくりと噛み締めながら総裁は見る、だが彼は答える気はない。
 だがその先の言葉はわかっている――最高評議会議長選挙、である。
「貴方ほど国民共和党を利用する政治家もそうそういないでしょうね!そうなると話が変わってしまう!」
 参りました、と両手を広げて見せる。最高評議会議長交代前に国民共和党最高幹部の一人が都市出身の中央政治家となるのならば――エル・ファシル政府は労農連帯党との関係を重視するしかなくなってしまう。
 そしてサンフォードの次の総裁は――地方党人はを冷遇するだろう!なにしろバーラトと地方の利害の対立は深まる一方。
 即ち都市部は二派が台頭することになる――即ち、構成国の中でもバーラトから離れた地域、とりわけ交戦域への安全保障の弱体化となる反戦派と『軍の効率化』を求める最強硬派だ。
 どちらが台頭しても生贄になるのは地方だ。最強硬派は地方駐留艦隊を減らし会戦やイゼルローン要塞攻略により多くの兵力をつぎ込ませるようになる。更に言えば構成共和国の権限を取り上げ、中央の”国家総力戦”に更に隷従させようとするだろう。

「気が変わったようで何よりだ」
 壮年の同盟政界左派の親方はビョークルンドの突き刺すような視線を意に介さずニコニコと応対する。

「えぇえぇ、変わりますとも!まったく!ご要望は?」

「国民共和党の穏健派と仲良くやれる奴が良い。つまり親軍かつ専守防衛派で亡命者を差別せず、同盟政府の枠組みに反対しないがエル・ファシルを愛している人間が良いな」

 好き勝手おっしゃりますねぇ、と総裁はペンをくるくると回しながら苦笑する。

「政策にご注文は?」

「政策は進歩連盟が原案を書いてくれないかな。勿論、労農党として調整する点もあるが、君達の推薦が欲しいからね。ウチから出馬するにしても進歩連盟の党籍を持っているとよりありがたい」
 ホアンの判断は間違っていない。逆に言えば推薦だけして知らぬふりではなく利害関係の利をしっかり持たせ、同じ船に完全に乗り込ませるという事である。
 同盟政党といえど構成邦で活動する政党に遠慮しなければならない点は多々ある、同盟下院は政党中心であっても党議拘束が緩やかでなければならない理由である。 
 ふむ、とメモを置くと、進歩連盟総裁は指先を合わせて、目を閉じた。
「‥‥‥エル・ファシル労働組合連合会の組織部長にグレゴリー・カメーネフというかたがいます。
港湾労働組合の執行委員長でエル・ファシル労働組合連合会組織部長。
従軍経験があり勇敢記章を授かっています。現在でも軍艦の受け入れや志願軍属雇用制度などに積極的に参加しており、同盟軍への協力や避難民の受け入れの為に積極的に活動。
動員能力は極めて高く、飲酒などのやレク
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