最終章:無限の可能性
第260話「VS分霊のイリス」
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ものではない。
それはイリスも理解していた。
「はぁああああああああああああっ!!」
だからこそ、“闇”を円錐のように展開し、矢を逸らした。
「ッ……!」
渾身の一撃だった。
このためにミエラが一人で時間稼ぎとしていたのだ。
だというのに、イリスは容易く千載一遇のチャンスを潰した。
「はぁっ、はぁっ、ざ、残念でしたね……!」
息を切らしながらも、イリスは二人を嘲笑う。
「隠れている者が誰であろうと、すぐに見つけて見せますよ……貴女達の“領域”を砕いてからね!」
“闇”が刺さったままだった矢を侵食する。
数秒もすれば、再びイリスは自由になるだろう。
「―――その必要はありませんよ」
だが、その時は来ない。
未だイリスの前にいるミエラが不敵な笑みを浮かべた。
「私達以外の戦力。それは……」
「この次元世界そのものです」
ルフィナがミエラに並び立ち、二人の背に一筋の光が直撃する。
それは下から飛んできたものであり、先ほどルフィナが放った一撃だ。
「ここはこの“世界”の領域!ならばこそ、星が、一つの世界が“意志”を以って敵に牙を剥くのは当然の道理です!」
「受けなさい。これが、この世界の“意志”です!!」
―――“κ?σμο? θ?ληση”
二人でその光を背負い、イリスへとぶつけた。
拘束が解けかけているとはいえ、未だイリスは回避不可能だ。
先ほどの一撃と違い、逸らせるような攻撃でもない。
「――――――!?」
障壁があったが、いとも容易く突き破り、イリスに直撃する。
伏兵が次元世界そのものだったとイリスが気づいた時にはもう遅かった。
声を上げる間もなく、その“領域”は砕かれたからだ。
「主様以外を蔑ろにするから、負けるのですよ」
「そうですね。神すら、一人では壁にぶつかってしまう。どうやら、イリスにはそれがわからないようですが」
光が収まると同時に、星を包んでいた“闇”も消える。
イリスの姿はそこにはなく、確実に分霊を倒したのだと二人は確信した。
「……まぁ、恋は盲目……ですからね」
「……そうですね」
イリスが優輝に執着するその訳。
それぞれ奏となのはを依り代にしていた二人だからこそ理解できた。
「結局は、本人か主様が気づかせるしかありませんね」
「ですが、裏を返せばそれさえ出来れば……」
「はい。確実に良い結末を迎えられるでしょう」
そして、その“可能性”を主である優輝は掴むだろうと二人は確信していた。
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