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戦国異伝供書
第百三話 緑から白へその十一

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「そしてじゃ」
「石垣も堀もですな」
「その様にしていく」
「左様ですな」
「その様にしていきますな」
「先程わしは十万の軍勢でなければ攻め落とせぬと言ったが」
 己の言葉をさらに話した。
「その十万の軍勢でもじゃ」
「攻め落とせない様にする」
「そこまで堅固なものにする」
「そうしていきますな」
「無論兵糧も武具も用意しておく」
 こちらの備えも忘れないというのだ。
「絶対にな」
「ですな」
「兵糧がなくては戦えませぬ」
「流石に」
「それではですな」
「うむ」
 こう言うのだった。
「常にそちらも忘れぬ様にするぞ」
「我等の本城の守りも確かにし」
「そうして戦っていく」
「武蔵にも出ますか」
「守りが確かであればこそじゃ」
 まずこのことがあってというのだ。
「安心して攻めて行けるであろう」
「はい、確かに」
「それが出来ます」
「その時こそ」
「安心して」
「父上はこの城を手に入れられた」
 頭に松明を点けた牛の大群を送り込んだ、その前に狩りをした時に獲物を城の中に入れてしまったので人を入れたいと言って猟師に化けた兵達を城の中にも入れさせていた。
「そして堅固なものにされたが」
「殿もですな」
「その様にされていますな」
「今も」
「そして伊豆千代もな」
 後を継ぐ彼もというのだ。
「そうしてくれる」
「そうしてですな」
「この城を攻め落とせぬ様にしてくれますな」
「十万の兵で以ても」
「そうしてくれる、ではこの城をじゃ」
 小田原城をというのだ。
「見て回っていくぞ」
「わかり申した」
「それでは」
「ただ、籠城はな」
 小田原城へのそれはというのだ。
「あくまでじゃ」
「最後の最後ですね」
「それはですね」
「この小田原城に籠城するのは」
「その時は」
「とても敵わぬ敵が来て」
 そうしてというのだ。
「外で戦っても勝てぬ」
「その時のみ」
「籠城はその時のみですな」
「それ以外はせぬ」
「安易には」
「そうでない時は外に出て」
 そしてというのだ。
「戦うことじゃ」
「如何にこの小田原城が難攻不落でも」
「それでもですな」
「普段は外で戦う」
「そうしていくのですな」
「他の城が攻め落とされぬ様にそれぞれの城を守りを固め」
 このこともしてというのだ。
「そのうえでな」
「あえてですな」
「そうしてですな」
「囲んでいる敵を牽制し」
「後ろを攻めることもしますな」
「どの様な城も一つだけでは落ちる」
 どれだけ難攻不落の城でもというのだ。

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