七話 短剣使いとの決闘
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に転じるに違いない。
……腹をくくるしかねえか。
待っていても好機は遠ざかるばかり、ならば自分から飛び込むしかないと、決意したロンはキッと目を見開き、最後の交錯になるだろう疾走の体勢に入った。
* * *
こちらに背を向けたシュウ、その奥手で《聖竜連合》のロンは次の手をどう出るか思案でもしているのか、構えながら攻撃の手を休めている。シュウの足払いが決まった瞬間はチャンスかと思われたが相手も流石に攻略組、凄まじい身のこなしで体勢を立て直すや否や反撃の姿勢すら見せていた。
一時の窮地を乗り切ったロンとシュウが睨み合い、戦闘は膠着状態に陥っている。いつしかトールは熟練プレイヤー同士の攻防に魅入られ、目を離すことが出来なくなっていた。自分が同じような条件で彼らと戦ったならば、あそこまでの判断が出来るだろうかと、不謹慎ながらもそんな考えを浮かべてしまう。
そうしてトールら中層プレイヤー達、《聖竜連合》の面々が二人のデュエルを見守る中、ロンが膝を曲げ溜めをつくる。状況が動き始める兆候にその場のギャラリー達が息を呑む気配が伝わってきた。ロンの動作に合わせてシュウもランスと盾を握り直し備える。と、その時唐突にアルバが呟いた。
「次で決まるぜ」
「え?」
その予言の真意を問いかけるより早く、短剣使いロンが地を蹴りシュウへと迫っていた。
* * *
ロンが駆けた先は正面、それまでのようにすれ違い様に刃を走らせることを目的としたようなものでは無く、盾の守りを超えて懐に飛び込もうとでもしようというのか、まるで激突しにいくかのような猛進ぶりだった。更にロンは何を思ったのか、接触まで二メートルを切ったという所で地面を蹴りつけ、跳ぶ。
低空を飛びながら勢いをつけて迫るロン。しかし空中に身を躍らせたその状態では回避もままならないはずだ、それまで自分から攻撃に出ることの無かったシュウがはじめて右手のランスを僅かに引くと、向かってくるロン目掛けて鋭く突き出した。地に足がついていないロンはそれを避けることは出来ない、はずだったが。
「ふっ!」
銀色に光る穂先が黒いライダースーツを貫こうというとき、ロンがダガーでランスの横腹を打った。鈍い金属音を響かせながら横からの衝撃を受けたランスは大きく狙いを外し、何も無い空を穿つ。そうして打ち払いの勢いを利用しランスを突き出したシュウの側面に降り立ったロンが勝利の確信を込めてダガーを振りかぶった。
盾は反対側にあり、ランスは振り抜いた直後、防御手段が間に合うはずもない。トールら中層プレイヤーが息を呑み、《聖竜連合》達が沸きあがる中で一人、声を上げるものがい
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