七話 短剣使いとの決闘
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ら見えるかもしれない速度で、鋭角的な軌道を描き盾を正面に構えたままのランス使いの背後に跳ぶ。
短剣用奇襲技《リープハインド》、状況に応じた動きで対象の背後を取ることを可能としたそのソードスキルによる回り込みで後ろをとり、引き寄せたダガーを振るって無防備な首元を刈る、筈だったがしかし、得られた手ごたえは堅い金属に弾かれる感触のみ、狙いとは程遠いものだった。
「――つっ」
軽く身を回したシュウが掲げたランス、その護拳に必殺の気合を込めて放った斬撃は受けられるばかりか、撥ね退けられてしまっていた。
(後ろに目でもついてんのかこいつは――――っ!?)
その結果に驚愕するのも束の間、シュウが放つ足蹴りに気づき目を見開く。ソードスキルの仕様直後で硬直時間を強いられているロンはそれに対応することが出来ず、宙に浮いた足を刈り取るかのごとき足払いを受けてしまう。
鋭い痛みが両脛に走るのを感じながらも、急速に体が前へ傾く感覚を自覚し咄嗟に両手を地面へ向かい伸ばす。無防備な体勢で倒れることだけは避けなければならない。控えめな筋力値を奮い立たせ地についた手を足代わりに前方へ身を投げながら宙返り、体が相手に対し正面を向けられるよう捻りを加え、着地の瞬間足を屈伸させると地面を滑りながらもダガーを構える。
敵の窮地に畳み掛けようとする手合いは得てして攻撃が粗雑になり隙が出来るものだ。追撃に来るようならそこにカウンターを食らわせてみせる。そんな思考から直ちに反撃に移れるよう軽業師もかくやという体捌きで無理矢理に体勢を整えはしたが、対敵はあくまで。強かだった。
こちらが体勢を崩さないのを見越していたのか、足払いをかけた位置から――いや、デュエル開始位置からほとんど動いていないまま、変わらない姿勢で観察するような視線と共に盾を向けてくるランス使い。鼻は高く、やや日本人離れした容貌だが年の頃はまだ成人に満たないだろう。しかしその精神は遥かに熟成している、若者特有の逸りともとれる勢いが全く見受けられない。
攻めづらい――はじめこそ有利な相手と見ていたがその実、鉄壁という印象が相応しいこの相手はロンにとってこの上なく厄介な難敵だった。
深く息を吐き、呼吸を整える。デュエルが始まって五分と経過していないが、防御の為最小限の動きしかとっていない相手と違い敏捷値をフルに使い走り回った自分の運動量は相当なものだろう。SAOというゲームの中ではレベルにして八十に達しているロンがその程度で息が切れることなどありえないが精神的なものはまた別だ。
これだけ動き回りダガーを振るっているというのに未だ仕留め切れていないという事実は意識的にせよ無意識にせよ、焦りという形で内に溜まり攻撃の手を粗雑に鈍らせるだろう。その時こそ目前のランス使いは反撃
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