七話 短剣使いとの決闘
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ルにとって耐え難いものだった。
「別に俺はシュウが負けるとは思わないけどな」
「……何だって?」
「よく見てみろよアレ、多分ろくにダメージ通ってないぜ」
アルバに促されるままに戦闘を注視すると、異様な事実に気づく。降りかかるダガーの刃、時折ソードスキルの発光を纏いながら迫るそれをシュウは冷静に、落ち着いた表情のままで左の盾、突撃槍の護拳を駆使して悉く受け流している。
まるで盾の上を滑るように流れていくダガーはその威力を発揮できているようには見えない、一方的に攻めている側であるはずの《聖竜連合》、ロンは立場が逆であるかのように焦燥で顔を歪ませていた。攻撃後追撃に移らず即座に離脱しているのは高い敏捷性を生かした戦法というわけではなく、体勢を立て直す隙を突かれるのを避けてのことのようだ。
「シュウ……あんなに巧かったのか?」
「タンカー役任せてると気づきにくいかもしれねえけどさ、目が良いんだろうな、シュウの盾捌きは並みじゃねえと思うぜ、だてに安全マージン外してレベリングしてるわけじゃないってことさ」
攻略組の攻撃と渡り合うシュウの本領を垣間見て思わず息を呑んでしまう。しかし、いかに防御が卓越していたとしてもこの世界の法則はゲームという枠組みの中にある。受ける瞬間に僅かだが、システムのダメージ判定により「抜ける」ダメージがあるはずだ。
であるならば結果は変わらない、回復ポーションを飲むわけにもいかないこんな状況が続けばいずれHPが限界を迎えるだろう。
「それによ、シュウは本当に生きてるからな、この世界で」
「……?」
「たかが十程度のレベル差ぐらいで――あんなゲーマー根性が抜けてないような連中に負けたりはしねえよきっと」
独白のようにそんなことを呟くアルバ。彼が何を思い、どう考えてそんな確信を抱くに至っているのか、やはり理解することが出来ず、トールは返す言葉を見つけることが出来なかった。
* * *
「ちぃっ!」
何度目かの特攻の後、舌打ちを漏らしながら相手から飛び離れる。生意気な口を聞く新顔を軽くあしらい、立場をわきまえさせる、そんな予定は大きく狂わされていた。
タンカー役を担っているにしては小ぶりの盾に、間接部の守りは鎧の内側に打ち合わせてあるのだろう黒革のみが露出している複合鎧。本格的なタンク系プレイヤー、いや一般的な重装型の剣士プレイヤーと比しても防御力は一段落ちるだろうその軽装ぶりからして決着はすぐにつくと見当をつけていた、のだが。
どうしてこんなに堅い――――!?
見舞った斬撃の数は二十、放ったソードスキルは五を数えるがそのどれもが決
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