七話 短剣使いとの決闘
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戦闘開始を告げるDUELのシステムメッセージがパーティメンバーであるシュウ、そして《聖竜連合》の短剣使いとの間で弾けた瞬間、短剣使いロンが地を蹴りシュウに迫った。
速い――レベルアップの際得られるステータスアップポイントを敏捷値に多く配分しているタイプのプレイヤーなのだろうロンは瞬時に距離を詰めると右手のダガーを閃かせる。それに対しシュウは身を傾けながら前方に構えた盾を傾け、受け止めるのではなく受け流す彼の防御スタンスでその攻撃を捌く。
始まってしまった攻略組との決闘を見守ることしか出来ず、もどかしい感情ばかりが胸に溜まっていく。相手と対照的にステータス配分が筋力型であるシュウは大きな動きを見せず、圧倒的なスピードで攻撃と離脱を繰り返すロンの攻撃を受けることしか出来ずにいるように見えた。
「しっかしあいつもノりいいなー。ま、こんなシチュエーションなら燃えるよな」
同じく決闘を見守っているアルバが暢気にもそんなことを喋るのについ睨むような目を向けてしまう。だがアルバはその視線を意にも介さず、刃と盾が擦れる金属音を響かせ交錯を繰り返す二人の戦いを観戦している。
「……アルバ、どうして止めたんだ」
心配など微塵もしているようには見えない少年の思考が理解できず、先程シュウが決闘を承諾したとき止めに入ろうとした自分を留めた彼にそんな声をかけてしまう。
「んー?まあシュウなら大丈夫かなって思ってさ」
「そんなわけないだろ、相手は攻略組だぞ。どう考えたってこんなデュエル無謀すぎる!」
シュウがコミュニティの中では最もレベルが高いプレイヤーの一人であることはパーティメンバーであるトール自身よく知っていた。しかし相手は攻略組、現在の最前線の階層に当然とっているだろう安全マージンから鑑みて相手のレベルが一回り近くは上であることは確実だろう。
レベルの差はステータスパラメータという絶対的な数値で戦闘力の差を生む。加えて筋力型であるシュウに対して相手は敏捷型、AIに従って行動するモンスターならいざ知らず、高速で動き回るプレイヤーは捉えることすら容易ではないだろう。
まともな勝負になるとは思えないのはキョウジら他の中層プレイヤーも同じなようで、戦いを眺めるその表情は一様に暗い。しかしただ一人アルバだけは愉快そうな色すら見える面持ちでいた。
「まあいい勝負すればいいって言うし、そんなに気にすることないんじゃねえか?」
「いい勝負になんて出来るわけないだろこんなの、晒し者にされるようなもんじゃないか」
悔しさに歯を噛み締めながら、いまだ一方的に攻撃を受け続けているシュウを見つめる。強く出れない自分に代わり交渉し、譲歩を引き出してくれた少年が攻略組の力を見せつけるショーの生贄にされているようなこの光景はトー
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